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原発立地10道県で選挙福井など

2015年2月19日

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 二〇一三年九月に国内の全原発が停止した「原発ゼロ」後、初となる今春の統一地方選。原発が立地する十三道県のうち、北海道や新潟県など十道県で首長、議員選が予定されている。再稼働や廃炉が大きくクローズアップされる中、国策を理由にこれまで地方選になじまないとされた原発が主要争点に浮上する可能性が出ている。

 注目されるのは全国最多十四基の原発を抱える福井県。四月十二日投開票の知事選を皮切りに県議選、高速増殖原型炉「もんじゅ」を含め三基がある敦賀市長選など地方選挙がめじろ押し。

 同県高浜町の高浜原発3、4号機は今月十二日に再稼働を前提とした原子力規制委員会の審査に通り、地元同意の是非が大詰めを迎える。知事選では四選を目指す西川一誠知事(70)に対し、原発に反対する共産党が候補擁立を検討。立地する高浜町でも四月二十六日投開票で町議選があり、選挙結果が高浜再稼働に影響を与えるのは確実だ。

 全国原子力発電所所在市町村協議会長を務める現職が不出馬を表明した敦賀市長選は、老朽化した敦賀原発1号機の廃炉に備えた新たな地域活性化策などで論戦が展開される見通しだ。

 このほか、高浜より先に審査を通り、知事が再稼働に同意した川内(せんだい)原発1、2号機がある鹿児島県では県議選が行われるほか、泊原発のある北海道でも知事選や泊村議選などを控える。東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)が立地する柏崎市、刈羽村の市村議選では、福島第一原発事故を起こした東電の責任を追及する声も強まりそうだ。

 福島原発事故を教訓に半径三十キロ圏内は住民の避難計画が義務づけられたことで、隣接の自治体でも原発が争点に浮上。高浜原発の三十キロ圏内に入る京都府や滋賀県、佐賀県の玄海原発に近い福岡、長崎両県でも府県議選などが予定されている。

 島根大の保母武彦名誉教授(地域経済学)は「地方自治法では自治体は住民の命や財産を守ることが基本とされるが、原発は国策という理由で地方選の争点にならない傾向があった」と指摘。「福島原発事故は放射能から地域住民をどう守るのかという課題を自治体に突きつけた。避難計画を策定する三十キロ圏内でありながら再稼働への発言権が与えられない問題などもあり、有権者は選挙を通じて考えてほしい」と話している。