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2017年4月24日 紙面から
名古屋市長選で四選を果たした河村たかしさん(68)は二十三日、本紙のインタビューで、名古屋城天守閣の木造復元に向けて市民の機運を高めるため、最大五百五億円の事業費のうち、百億円程度を寄付で集める構想を明らかにした。新たな任期をどうかじ取りしていくのか、意気込みを聞いた。(聞き手・臼田信行編集局長)
−結果をどう受け止めるか。
ありがたいこと。木造復元は非常に象徴的で、いいテーマだった。住民投票みたいなものだった。
−選挙中に言及したが、木造復元に市民の寄付を充てるのか。
名古屋城本丸御殿の復元事業では寄付の目標額を五十億円にしたが、倍くらい。前の天守閣は建築後三百三十三年で太平洋戦争の空襲のため燃えた。寄付した人の名前を(タイムカプセルに入れて)残し、三百三十四年後に開けてもいい。
−一方で、街全体のデザインが見えてこなかった。
木造復元にすさまじいエネルギーがかかった。天守閣は全体の街づくりへ引き金になる。堀川や栄、熱田神宮や有松へも。財界にも理解をもらわなければいけない。
−市民税減税はどうするのか。
相手陣営は「金持ち優遇」と批判したが、そうではないと市民が分かっていた。減税の精神は生かしておいた方がいい。政治をやる人間に対するメッセージですよ。
−選挙戦では「日本一子どもを応援するマチ」を掲げた。
希望する保育所に入れない「保留児童」の問題は、これまで以上にきめ細かく対応する。子ども応援委員会をさらに進めた形で、保護者の支援も考える。生命保険会社で地域を回る“生保レディー”と連携して、お母ちゃんの悩みを救えないか。
−議会との関係は。
木造復元事業の関連予算を市議会二月定例会で通してもらうために、交換条件は一切、出していない。議員報酬も八百万円化を諦めていない。無作為抽出の市民が入った第三者委員会で聞いてもいい。議員の家業化を防ぐには任期制限が一番合理的だが、議会で通るか分からない。
−今後の課題は。
最大は名古屋港・空見ふ頭の大規模展示場。将来、ガソリン車からモーター車に変わると部品数はぐっと減る。中小企業が新技術に触れ、人的なコネクションをつくる産業の核として重要です。県と市のけんかはどうでもいい。
−「総理を狙う男」はどうなる。
このまま名古屋で死んでいく可能性が現実論として強いけれど、議員の在り方の議論は名古屋だけでは難しい。国でやらなければ。ただ、名古屋城は一つの区切りになる。