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<闘論>(1)河村市政の総括 

2017年4月2日 紙面から

 二十三日投開票の名古屋市長選を前に、中日新聞が一日に開いた討論会では、現職の河村たかし氏(68)と、前副市長で弁護士の岩城正光(まさてる)氏(62)がまちづくりや福祉、議会改革などをテーマに白熱した論戦を展開した。二人の発言内容を五回にわたって詳報する。初回は市民税減税を中心に、河村市政二期八年の総括から−。 (司会は寺本政司社会部長、文中敬称略)

 ■8年間の評価

 −河村市政二期八年の評価は大きな争点になる。振り返ると。

 河村 まず自分の給与を年八百万円に減らして退職金も廃止した。八年間で計二億四千万円を市民にお返しした計算だ。やせ我慢だけど、約束を守った。ぜいたくしなければ、食っていける。市民税減税もできたし、なごや子ども応援委員会もやった。敬老パスを値上げしなかった。税金を一円でも下げ、日本で最高の福祉をお届けした。

 −自己採点すると。

 河村 努力した点も考慮すれば、百三十点。でも議会で過半数ないから(やりたいことが)できん。

 岩城 振り返ると、混迷と停滞の八年だった。三年間副市長を務めたが、素人的な発想が印象に残る。行政は組織で運営していくもの。実際に現場で運営し、市民サービスを高めるには、専門性がある程度求められる。市長にマネジメント能力が欠けていたと思う。

 −職員の活用や根回しに問題があると。

 岩城 マネジメントは、自分で責任を引き受けること。市長は「議会がこうだから」とか、人のせいにしている。なぜ議会が意見に沿ってくれないのか、分析して、議会と向き合っていく姿勢が大事なのに、人のせいにしている。これでは行政は先に進まない。

■市民税減税

 −一律、市民税5%減税は、市民の間で効果の大小が出てくるが。

 河村 (パネルを示しながら)地方税法では一つの税率しかできないと定めている。庶民の減税率だけを大きくできない。減税したために福祉を削ったなんて、あり得ない。行財政改革をやっている。(自身が)市長になってからの経済成長率は、他都市より断トツに大きい。

 −減税政策をどう考えるか。

 岩城 経済政策としてはあり得る政策だが、一律減税はやはり、お金持ち優遇政策そのもの。「減税は良いこと」と言うが、所得の格差を拡大させている。一律減税であるなら、今はするべきではないと思う。

 −継続させるか。

 河村 庶民は所得に占める生活費の割合が大きい。減税は千円、二千円でも可処分所得にする優しい政策。続けますよ。

 岩城 元に戻します。そのまま減税財源を市民サービス向上に使います。

 河村 増税とはっきり言ったらどうか。

 岩城 一般的な税率に戻すだけだから、増税という意識はない。見方の違いだけ。

 河村 それは福祉のための増税と同じ。私は市職員の人件費を削り、そういう金を減税で市民に戻した。

 岩城 市職員の給与削減で減税財源を出したというのは詭弁(きべん)。市民サービスは下がっている。

 河村 子ども応援委やワンコインがん検診もやっている。行革をやり、福祉をやればよい。

 岩城 好景気の時に、減税はやるべきだが、経済力をつけなきゃいけない時にやるのは、そうじゃない。

◆岩城 正光氏 いわき・まさてる 弁護士。NPO法人「子どもの虐待防止ネットワーク・あいち」元理事長。2013年6月、副市長就任。担当の福祉分野で河村市長との対立などもあり、16年5月に解任された。東区在住。62歳。

◆河村たかし氏 かわむら・たかし 市長。地域政党「減税日本」代表。1993年、衆院旧愛知1区に日本新党公認で初当選し連続5期務めた。2009年の市長選で初当選し、11年の出直し選、13年の前回選で再選。東区在住。68歳。

◆質問募集は締め切りました

 9日告示の市長選に向け、中日新聞が「市長選候補者にこれが聞きたい」と題して読者の皆さんから募ってきた質問案は、受け付けを締め切りました。市政の課題や市の将来像、候補者の人柄、趣味など多角的な内容を多数寄せていただきました。寄せられた案は今後、候補者への質問や特集取材の中で活用させていただきます。ありがとうございました。

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