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河村氏の自転車街宣にブレーキ? ヘルメットなし、片手運転…法に抵触も

2017年3月21日 紙面から

 四月の名古屋市長選で、三期目を目指す河村たかし市長がお得意とする「自転車街宣」が、スタイルの変更を迫られている。四月一日から、自転車の安全利用を促進する市条例が施行予定で、六十五歳以上の高齢者にヘルメット着用を要請。六十八歳の河村氏も該当するためだ。市長選をにらみ、一部の市議が「市長は市民の手本であるべきだ」として、開会中の市議会で「沿道に手を振る片手運転も危ない」などとけん制している。

 「市長にヘルメット着用を守ってもらえるのか。市長が守れない条例案は議決できない」

 条例を審議する委員会で、田辺雄一氏(公明)が当局側に、河村氏から法令順守の確約を取るよう追及。当局側は「『条例と道交法の規定を順守する』との回答をもらった」と答えたが、ヘルメット着用は努力義務規定で罰則もない。関係者によると、河村氏から「必ずヘルメットをかぶる」といった明言は得られなかったらしい。

 今では選挙戦でなじみとなった自転車街宣は、「河村氏が元祖」(河村事務所)。街宣車や徒歩より多くの人と接することができると、二十七年前の衆院初挑戦以降続けている。

 先導車に続き、車道の左側を走行するのは法令上問題ない。ただ、条例施行後のヘルメット着用に加え、沿道の人に向かって手を振るのは「危険な片手運転」に当たり、道交法に抵触するのではと市議の一部は息巻く。

 愛知県警によると、県内では昨年の自転車絡みの交通事故で二十九人が亡くなり、うち十七人が高齢者。頭部損傷で重大なけがを負うケースが多く、「条例を制定する以上、市関係者は率先して守る必要がある」と市地域安全推進課。

 車両の運転に関しては、道交法が「ハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、他人に危害を及ぼさない速度と方法で運転しなければならない」と規定。県警交通総務課は「手を振る行為は一瞬で、全てが違反とは言えない」としつつ「『瞬時』が連続すれば、安定性を欠くことになる。選挙なので一概には言えないが、望ましい行為ではない」と注意を促す。

 一方、対抗馬で前副市長の岩城正光(まさてる)氏(62)は現時点で自転車街宣をするかは未定という。ただ、弁護士だけに「自転車街宣をする場合でも、法律の専門家として法令順守でやっていきます」と話す。

(蜘手美鶴)

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