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2017年3月14日 紙面から
二〇一一年の同日選でタッグを組み、ともに圧勝した愛知県の大村秀章知事と名古屋市の河村たかし市長の盟友関係が、四月の市長選を目前にきしんでいる。十三日は、河村氏が構想する名古屋港での大規模展示場の調査費計上を巡り、二人がそれぞれ記者会見し「(認めると)言った」「言わない」と激しい水掛け論を展開。政策面で足並みの不一致が目立ち、四年前の市長選では河村氏の応援に駆け付けた大村氏だが、今回は静観の構えを貫いている。
「『調査をやってよい』と言った事実はない」
「わしはうそを言っていない。(知事の)記憶違いじゃないか」
応酬の発端となった大規模展示場は、県が計画を先行させ、市もこれとは別に整備に向けた調査費を計上。市議会答弁で「(大村氏が)『調査やってちょうよ』と言った」との河村氏の発言を、大村氏は真っ向から否定。激しい口調で不快感をあらわにした。
一一年の知事選、市長選当時は共同公約を掲げ「村・村コンビ」として売った二人だが、その後は減税政策や、他の自治体との「首長連合」などの問題で離れてはくっつき、つかず離れずを繰り返してきた。
大村氏周辺によると、二人にすきま風が吹き始めたのは、「県と市の合体」を共同公約に掲げた中京都構想の戦略会議が一四年三月から開かれず、事実上頓挫したのがきっかけ。「市を解体しない」と主張し始めた河村氏に対し、大村氏は「だまされた」と失望。最近では、共催への撤退、復帰と迷走したアジア競技大会の誘致、一向に進まない名古屋城天守閣の木造復元などの政治、行政手腕に不信感を抱き、河村氏と距離を置き始めたという。
「トムとジェリーのようなもの。仲良くけんかしなですわ」(河村氏)
「(河村氏への)友情は変わらない」(大村氏)
公式行事などで居並ぶ場面では、表立った対決姿勢はみせない二人だが、今年は元旦恒例の名古屋・大須でそろい踏みする街頭演説は見送りに。河村氏は十七日に開く政治資金パーティーに大村氏を招待したが、断られたという。
四年前の市長選、河村氏の出陣式に駆け付け、ともにマイクを握った大村氏。この日の記者会見では市長選の立ち位置に関し「コメントはしない」と述べるだけだった。