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市民税減税巡り応酬 自、民、共「恩恵なし」

2017年3月8日 紙面から

 四月の名古屋市長選の告示まで一カ月余と迫り、七日の市議会の代表質問は河村たかし市長(68)の二期八年を巡る激しい論戦となった。自民、民進、共産の各会派代表は、市長の主要公約の地域委員会や市議報酬半減が頓挫する中、唯一、継続している市民税減税を俎上(そじょう)に載せ「庶民に恩恵がない」と集中砲火を浴びせた。市長は「ちょこっとでも税金を安くするのが、市民に温かい政治だ」と応戦し、さながら市長選の前哨戦の様相を呈した。

 「減税政策の限界だ」

 成田隆行氏(自民)は、減税の恩恵を受けた企業や市民から寄付が大幅に増えるという市長の期待に反し、横ばいが続く現状を指摘。市長が接近を図る東京都の小池百合子知事が二月の都議会で、都民税減税に慎重な姿勢を示したことにも触れ「市長にとって『一丁目一番地』でも、小池知事には『番外地』だ」と皮肉った。

 市長は減税の効果として、名古屋市の名目市内総生産の伸びが五大都市で最も高いとのデータを示し「市民の可処分所得が増え、増収につながる」と強調した。

 しかし、橋本浩幹氏(民進)は「『減税で生活が楽になった』とは聞いたことがない」と実感の乏しさを追及。田口一登氏(共産)も「一律減税は富める者をますます富まし、貧困層に恩恵がない。格差を拡大している」と撤廃を迫り、市長が「法律で一律減税しかできん」と気色ばむ場面もあった。

 田口氏は減税の旗を降ろし、財源を福祉施策などに充てるよう要求。市長選に立候補する前副市長の岩城正光(まさてる)氏(62)が目玉公約とする小学校給食無償化を例に挙げるなど、市長選を意識した応酬が繰り広げられた。

(安田功、蜘手美鶴)

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