須藤さん 富士山似合う街に
2015年4月27日
富士宮市長選に当選し、胴上げされる須藤秀忠さん=26日午後10時15分、富士宮市万野原新田で |
「やり残したことを一つ一つ成し遂げていきたい」。新人候補との一騎打ちを制した現職の須藤秀忠さん(68)は、深々と支援者に頭を下げた。
開票開始直後の午後九時半ごろ、富士宮市万野原新田の選挙事務所に当確の報が伝わると、詰め掛けた支援者ら二百人から大きな拍手がわき起こった。
須藤さんは「苦しい戦いだったが、市民は私のクリーンな政治姿勢を分かってくれた」と選挙戦を振り返った。来年度に富士山世界遺産センター(仮称)を建設予定の中心市街地や、構成資産周辺の整備に向け「世界遺産の富士山に恥じない品格あるまちづくりを進めたい」と抱負を述べた。
落選した近藤千鶴さん(59)は、市内で「市立病院の医師不足の問題で現職を動かすことができ、意義があった。市民の一人として病院の今後を注視したい」と語った。
◆医師確保 手探り
富士宮市民は須藤市政の継続を選んだ。安定感に加え、世界文化遺産・富士山を生かしたまちづくりのための施設・道路整備、市立病院の医師確保と改築などの訴えが一定の信任を得たことになる。
須藤氏は「積極財政と健全財政の両立」を一期目から掲げてきた。二〇一三年度決算で、市民一人当たりの市債残高は二十二万六千円と、県内二十三市で下から二番目にある。市債残高の少なさは、前市長の時代に進めた職員給与のカットなど体質改善の成果であり、大型の投資を控えてきたためでもある。
対立候補が将来の負担増の懸念を訴えたように、積極財政の比重を高める上で、投資効果や財源の裏打ちなど説明責任を果たす必要がある。
懸案の医師確保で、須藤氏は来年度に浜松医大と都内の医大から整形外科医計四人を受け入れたいとしている。しかし、これまで派遣を受けてきた浜松医大以外からの確保は「手探り状態」(病院関係者)だ。
医師の確保は診療報酬増につながり、病院の健全経営に欠かせない。市民の関心事であり、ここでも市議、県議を含め三十六年にわたり地方政治に関わる須藤氏の手腕が問われる。
(小佐野慧太)