静岡

市議選19日告示 湖西の課題<上>津波避難施設 

2015年4月16日

 統一地方選の後半戦では県西部地域で唯一の湖西市議選が十九日、告示される。旧新居町との合併から五年が過ぎ、合併後の市の課題を考える絶好の機会になる。防災や産業面の課題を追った。

◆予算の壁 残る空白域

松山地区の空白域を説明する松島さん。指さす方向の先には、遠州灘がある=湖西市新居町で

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 新居町の松山地区と高師山地区は、遠州灘が間近に迫る海岸沿いにある。隣接する両地区の一部は、足腰の弱い高齢者らの避難に不安が残る津波避難施設空白域だ。自宅から七百七十メートル以内に避難施設がない区域を指し、市内ではここだけ避難施設の整備計画が決まっていない。

 空白域に住んでいるのは五十人ほどで、松山地区に住む元町内会長の松島仙治さん(69)は「全員が津波から逃げ切ることができるか不安だ。一日も早く避難施設を造ってほしい」と話す。

 市は二〇一四年三月に津波避難計画を策定し、新居町の沿岸部に広がる空白域の解消を進めてきた。二月には新居弁天わんぱくランドに避難デッキが完成した。住吉地区では一六年度に命山、日ケ崎地区では一七年度に避難タワーが完成する予定だ。

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 松山、高師山地区は命山の建設を希望し、一四年から住民らで話し合いを続けてきた。しかし土地の調整などがつかず、選定が遅れている。ただ候補地をすぐに決めたとしても、市の担当者は「財政的な事情ですぐには着工できない」と話す。

 JR新所原駅の橋上化に伴う周辺整備事業など、市では一六年度から、複数の大型事業が本格化する。住吉、日ケ崎地区の避難施設が完成した一八年度以降に、松山、高師山地区の整備計画に着手する考えだ。

 市の藤田和久危機管理監は「予算は限られており、優先順位を付けて整備を進めるしかない」と理解を求める。建設には三年ほどかかるため、完成は早くても五年後の二〇年度になりそうという。

 松山、高師山地区を地盤にする市議は現在おらず、今回の選挙でも両地区を地盤にする候補は出る見通しがない。今後は早急に候補地を決め、湖西市選出の県議にも働き掛けて粘り強く市に要望していく考えだ。

(佐野周平)