静岡

節目のはままつ 鈴木市政3期目の展望<中> 

2015年4月15日

◆公共施設やインフラ 財布に限界 どう整備

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 五十年間で三兆二千三百七十六億円−。

 伊豆半島よりも面積が広い浜松市に今後重くのしかかってくるのが、膨大な数を抱える公共施設やインフラを更新・維持管理していく費用だ。

 学校や市営住宅などの公共施設は千六百カ所、道路は八千五百キロ、橋は六千カ所に上る。そのまま新しく造り替えた場合、年平均で六百四十八億円、市の予算(一般会計)の四分の一近くを占める額が必要と市は試算した。現行で整備に充てている額は年四百億円程度だから、全く足りない。

 鈴木康友市長の次の任期となる二〇一八年度までを見通しても、浜松医療センター新病院(中区)や新清掃工場(天竜区)など総事業費が二百億円を超える大規模整備計画が実施設計から着工へと向かう。

 市はこれら必要な施設の出費も見込んだ上で、今年三月に新たな中期財政計画(一五〜二四年度)を策定した。市の借金(市債)を増やさなくても財源を工面する考えだ。鈴木市長は選挙後も記者団に「鈴木康友イコール行革と思われがちだが、意外と投資もしている」と強調した。

 それを実現するには、更新・維持にかかる費用を極力抑制していくことも同時に必要になる。

 鈴木市長は政策公約で、公共施設やインフラの統廃合、長寿命化の目標などを示した「公共施設等総合管理計画」を一五年度中に策定すると明記した。

 民間委員が行財政改革のあり方を提言する行政経営諮問会議は今年二月、公共施設などの更新・維持で市の財政負担を極力減らす方策を答申した。学校の統廃合を進め、保育園や幼稚園、高齢者福祉施設、公営住宅などは全て民間に移管するという大胆な提言だ。鈴木市長は「答申を最大限尊重し、計画策定に生かす」との考えを示している。

 だが、市にとって想定外の事態も起きている。

 完成間近だった天竜川にかかる新原田橋(天竜区)は今年一月の土砂崩れで損壊し、造り直しが必要になった。近隣住民からは橋の位置を安全な下流側に変えるよう要望も出ている。

 一四年度末で休館となった市教育文化会館(はまホール、中区)は当初、閉館して取り壊し、建て替えはしない方針だったが、利用者らが存続を強く求めたため、建て替えも含めて今後の対応を一五年度に検討することになった。

 どちらも市民の命と生活に密接にかかわる施設だ。市民の要望通りに建設できればそれに越したことはないが、その分、市の出費はかさむことになる。鈴木市長にとっても悩ましいところだ。

(古田哲也)