静岡

検証 静岡市長選<下>東静岡開発、人口減対策…

2015年4月15日

◆求められる決断力

初登庁し、2期目の抱負を語る田辺市長=静岡市役所で

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 「成果を見せていく四年間、正念場の四年間だと思っている」。静岡市長選で再選を果たした田辺信宏市長(53)は意気込みを口にする。しかし二期目を迎えた市のリーダーが直面する課題も多い。

 JR東静岡駅北口にある二・五ヘクタールの市有地は、県立総合体育館の移転や新市庁舎建設などの計画が頓挫し、二十年以上も空き地のままだ。多目的アリーナとサッカースタジアム建設の要望書が市に出されているが、用途は決まっていない。

 サッカーJ1清水エスパルスのスポンサー鈴与(清水区)と、日本を代表する女子バスケットボールチームを有するシャンソン化粧品(駿河区)。市内の有力企業にとってもスタジアムと多目的アリーナとでは利害が相反する。ベテラン市議は「最後は決めざるを得ないが、結論を出す難しさは理解できる」と話す。

 選挙戦では「人口七十万人維持」も訴えた。人口減少対策は、全国の地方都市が抱える共通課題。少子高齢化で自然減が進む中、都市間競争の激化で他よりも魅力的なまちづくりを進めることで定住や移住人口を確保しなければならない。

 田辺市長は二〇一五年度から八年間の市政運営指針を示す第三次総合計画で、待機児童ゼロに向けた幼稚園と保育園の認定こども園移行や、静岡型の地域包括ケアシステムの構築など、子育て世代と高齢者が暮らしやすい都市像を描いた。

 若者の定住促進策として、ふるさと回帰のための奨学金免除制度を創設し、新幹線通学への助成も検討。移住促進策では、首都圏での情報発信拠点「静岡市移住促進センター」の開設など、あの手この手を使って人口維持に取り組む。

 ただ効果は未知数。市内の経済研究所研究員は「安全と安心を確保するため津波対策など防災面も万全にしなければならない。時間と金がかかる難題。地域経済の浮揚は不可欠で、国や県との連携に加え、強いリーダーシップが求められる」と指摘する。

 自民、公明などの政党や多くの企業、団体の支援を受けて船出した二期目の田辺市政。「一期目以上に窮屈な思いをする」(市議)との声もある中、求められるのは強いリーダーシップと決断力。市民が納得する形で成果を残すことが必須条件だ。

(横光竜二)