静岡

県議選 共産が4年ぶり議席回復

2015年4月13日

◆低投票率有利に

 県議選で共産が四年ぶりに議席を回復した。投票率が低く、支持なし層が投票しなかったことで、堅い組織と固定票を持つ党が有利な戦いとなった。また、昨年末の総選挙と同様に、地方でも民主が非自民票の受け皿となりきれず、批判票が共産に向かったともみられる。

 共産は一九七一年に四人が当選し、県議会で初の議席を獲得した。七五、七九年には最多の五人が当選。その後も三〜四議席を確保していたが、六人が立候補した前回二〇一一年で全員落選し、議席がゼロとなった。

 今回は、党の支持層を固めたのに加え、「非自民、反安倍路線」を徹底的にアピールし、非自民層の受け皿として支持を集めた。

 一方、民主系の第二会派「ふじのくに県議団」は昨年二月に「民主党・ふじのくに県議団」から名称を変更し、民主色を消して臨んだが伸び悩んだ。国政と同様、政権脱落時から続く有権者の不信感を払拭(ふっしょく)できていない現状をあらためて突きつけられた。

 女性の当選は三人にとどまり、安倍政権が女性の活躍を重要政策と位置付けている中、県議会での実現はまだほど遠い。

 自民は手堅く議席を確保したが、党県連幹事長の現職が一議席を二人で争った牧之原市・吉田町で敗れた。

 県議選では、自民系の県議会最大会派「自民改革会議」が手堅い戦いぶりを見せ、改選前に引き続き過半数を占めて議会運営の主導権を握る。川勝平太知事との関係は、これまで通り是々非々で臨む見通しだ。

 議会への根回しなど従来の政治手法にとらわれない川勝知事と自民は事あるごとにぶつかってきた。二〇一三年の知事選でも対立したが、知事が戦後最多の百八万票を獲得し再選すると、是々非々路線に転換。関係改善を模索してきた。

 知事も二期目からは議会側に一定の配慮を示すようになり、感情的な対立はなくなった。しかし、県議会は今回の統一選直前の三月、新教育長人事案を自民、公明などの反対多数で否決した。知事が新たに五月の臨時議会にも提案する新教育長人事案が、今後の火種となる可能性がある。

 流出が二年連続全国ワースト二位と深刻化する人口減少対策、回復が遅れる経済の立て直しなど県政を取り巻く課題は待ったなしだ。議会は知事との不毛な政争に明け暮れるのではなく、チェック機能を果たして、県民が求める施策を着実に進めることが求められる。

(静岡総局・本田英寛)