静岡

浜松市長選 鈴木さん笑顔で決意

2015年4月13日

◆「浜松を行革」熱く

三選を果たし支援者らに囲まれ笑顔の鈴木康友さん(中央)=12日午後8時22分、浜松市中区で

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 「浜松を暮らしやすい街に」。前回選の無風から一転、八年ぶりの選挙戦となった浜松市長選は十二日の投開票の結果、行政区再編など行財政改革の推進を掲げた鈴木康友さん(57)が、区再編に真っ向から異を唱えた新人の嶋田博さん(66)の挑戦を退けた。事務所で支援者らが歓喜に沸く中、鈴木さんは三期目の市政運営にかける熱意を見せた。

 午後八時、浜松市中区のグランドホテル浜松に集まった鈴木さんの支援者約百二十人は、テレビで当確を確認すると、歓声とともに大きな拍手で喜びを爆発させた。しばらくして姿を見せた鈴木さんは、両腕を上げ手を振って声援に応えた後、深々と頭を下げて感謝の意を示した。「これまでの実績が市民に評価されたのだと思う。三期目も全力で市政にまい進していきたい」と力強く決意表明した。

 壇上に立った鈴木さんは笑みを浮かべ「今回はとにかく一人一人の市民に、できるだけ多くの伝える機会をつくった。八年ぶりだったが選挙をしてよかった」と選挙戦を振り返った。

 三期目の抱負を問われると、表情を引き締め「将来にツケやリスクを持ち込まない行革をしていく。区の再編をはじめとした大きな構造改革をする」と述べた。

 三選の出馬表明をしたのは昨年十一月末。十四日間の選挙戦では、市内各地の六十五カ所で街頭演説、十九回の個人演説会を開いた。選挙戦は現職としての実績と知名度に加え、各地域の市議の地盤にも顔を出すなど全方位的な選挙戦略で、序盤から終始優位に進めてきた。

 大激戦だった八年前を13ポイント余り下回る低投票率に終わった点には「全国的な傾向だが、もう少し全体として政治や行政に関心を持ってもらう空気をつくっていかなくてはいけない」と語った。

【解説】区再編 十分に説明を

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 行政区再編が大きな争点となった浜松市長選。推進を訴えた現職の鈴木康友さんが、反対を唱えた対抗馬を大差で破ったことで、再編への動きが今後四年間で加速していくとみられる。

 鈴木さんは当確の一報を受けた後、記者団に区再編について「できるだけ早くアクションは起こしたい」と早くも意欲をみせた。

 ただ市長とともに市政の一翼を担う市議会は、推進に前向きとは言えない。今回の市議選でも再編に反対する共産が躍進した。

 本紙のアンケートでは、明確な再編支持派は三分の一。それ以外は反対または態度を明確にしていない慎重・様子見派だ。まずは市議会で理解者を増やさない限り、市長が目指す再編の是非を問う住民投票の実施もままならず、再編は絵に描いた餅のままになる。

 それ以上に重要なのは、再編に対する市民の関心度を上げることだ。

 市長選の投票率が53・56%と極めて低かったことをみても、争点となった区再編を市民が身近な話題と捉えているとは言い難い。再編で区役所が減ることで市民サービスはどう様変わりするのか。今後再編の動きを進めるなら、説明に十分な時間をかけていくことが不可欠だ。

(報道部・古田哲也)