静岡

静岡市長選 田辺さん安堵の表情

2015年4月13日

◆「静岡を守る」強く

静岡市長選の当選を決め支持者の拍手の中、壇上に向かう田辺信宏さん=12日午後8時1分、静岡市葵区で

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 現新三人が争った静岡市長選。午後八時、投票終了とほぼ同時に静岡市葵区の事務所に当選確実のテレビ速報が流れると、田辺信宏さん(53)は安堵(あんど)の表情を見せて支援者と握手を交わした。「どの地域、どの世代の市民にも、二期目を任せてよかったと思ってもらえるようにする」と力強く抱負を語った。

 再選を目指した今回は、新人三人が立ち、最後までもつれた四年前とは大きく異なった。無投票との観測もある中、前回も推薦を受けた自民党、連合静岡に加え、公明党、新党改革の推薦も得て、早い段階から組織票固めに取り組んだ。

 三月に入ってようやく新人二人が出馬表明し「四年間の成果を説明する機会をもらった」と気を引き締めた。告示後は選挙カーで市内をくまなく遊説。個人演説会や企業へのあいさつ回りも精力的にこなし「市民目線を大事にしながら、リーダーとして向かう方向を示す」と支持を訴えた。

 清水区の事務所でも祝福され「実るほどこうべを垂れる稲穂かな。皆さまの思いを謙虚に受け止めたい」と語り「静岡市を守っていくため、強さを持って立ち向かう必要がある。優しさと強さを兼ね備えた市長になる」と意気込んだ。

【解説】「決められぬ市政」正念場

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 市外への人口流出や、決め手に欠ける東静岡地区の市有地利活用策など市政の課題は山積するものの、市民は現職に二期目のかじ取りを任せた。新人二人が準備不足だったとはいえ、有効投票数の三分の二を獲得する圧勝だった。

 壁一面に企業、団体の推薦状が張られた田辺さんの事務所。市議四十八人のうち共産党などを除く四十一人も応援に回る万全の態勢で選挙戦を終始、優位に進めた。自民のベテラン市議は「勝敗よりも得票率や投票率を意識する選挙戦だった」と本音を漏らした。

 ただ田辺さんに一票を投じた有権者からは「一期で変える必要はない」「有力な対抗馬がいない」と消極的に支持した結果との声が聞かれる。一期目は東静岡の整備などをめぐり、川勝平太知事や財界から「何も決められない市政だ」と厳しい批判も受けた。今回信任を得たが、有権者の半数以上が棄権した現実を受け止め、声なき声に耳を傾ける姿勢も求められる。

 田辺さん自ら「一期目は土台作り。スタートダッシュで加速していく」と力を込める二期目が始まる。実行力を発揮できるか、正念場となる。

(静岡総局・横光竜二)