静岡

浜松市議選 58人に聞く<下>議員定数

2015年4月11日

◆現状維持が半数近く

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 浜松市は過去四年間で、約二千カ所あった市の施設の二割に当たる四百カ所余りを廃止し、職員を三百人以上減らすなど経費節減に努めてきた。市民サービスにも影響する行財政改革に理解を得るには、行政だけでなく議会側も「身を切る改革」が求められる。市議選の候補者五十八人に、市議会の定数四六を減らすべきかどうか考えを聞いた。

 回答では「現状を維持すべき」が半数近い二十八人(48%)に上り、「減らすべき」の二十四人(41%)をやや上回った。増員を主張する意見はなかった。

 二〇〇五年の市合併時に六五だった市議会の定数は、見直しに伴い〇七年の政令市移行時に五四、一一年の前回選では四六と、連続で削減された。今回の選挙では、二十政令市の中で既に最少となっていることもあり、据え置きとなった。

 ただ、市議一人当たりの人口は約一万七千人。人口百万人以上の大都市がほとんど一人当たり二万人超なのに比べると、議員数が少ないとも言い切れない。

 現状維持を求める回答の中には「浜松はいち早く定数を削減し、議員が一番少ない政令市だ」(東区・現職)と、これまでの取り組みに理解を求める意見が多かった。

(%は小数点以下を四捨五入した)

◆区再編と合わせ議論を

 浜松市議選候補者五十八人に対するアンケートでは、市議会の議員定数(現行四六)について現状維持を主張する候補者が半数近くを占め、身を切る改革の一環として定数削減の必要性を訴える候補者をやや上回った。

 現状維持の理由では、議会審議の「質」の維持を訴える意見があった。全議員による本会議での議案採決の前に、十人前後で詳しく審議する分野・項目別の「委員会」があることを踏まえている。

 定数を削減すれば、委員会ごとの議員数も減るため「重要な議案を少数で採決していいのか。公正公平な判断には、ある程度の委員数は必要。ただ減らせばいいというものではない」(東区・現職)というわけだ。

 定数を減らせば、選挙で当選に必要な得票数の水準も上がるため「新人や女性、若者が出にくくなり、多様な声を代弁できなくなる」(中区・元職)との懸念も聞かれた。

 身を切る改革の矛先として「市議より県議を減らすべきだ」(南区・現職)「議員報酬を引き下げるべきだ」(浜北区・現職)との指摘も多かった。

 定数削減を主張する側は「今後、市民にさまざまな負担をお願いするのは明白。議会だけが現状維持では、市民に示しがつかない」(浜北区・新人)と、行財政改革の推進などに伴う市民サービスの低下を見越した意見も。

 適正な定数としては「四〇程度なら議会運営に支障なく、地元の要望にも十分応えられる」(北区・現職)との意見も複数あった。

 一方で、選挙の大きな争点となっている行政区再編が今後進み、将来選挙区が変更される場合も踏まえ、回答にかかわらず「区再編とセットで議論するべきだ」(中区・現職)との声も多かった。

(浜松市議選取材班)

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