静岡

県議選 沼津市 高架化賛否 民意どこに

2015年4月11日

◆沼津市選挙区(四…5)

   近藤 泰平 55 無新

   杉山 盛雄 56 自現 当選4回

   曳田  卓 61 民現 当選1回

   蓮池 章平 61 公現 当選4回

   多家 一彦 67 自現 当選6回

◆見直し派VS推進派

 五年前にストップした沼津駅周辺の鉄道高架化事業で、事業主体の県と沼津市が今年一月に推進を表明して以来、初の県議選が沼津市選挙区(定数四)で行われている。見直しを訴える市民グループの要請で無所属新人が出馬し、推進派の現職四人に対する争点化を図った。現職候補には、大型公共事業は「もはや争点でない」と言い切る人がいる一方、「反対がどれだけあるか分からない」と民意を測りかねる人もいる。

 鉄道高架化事業は一九八〇年代、静岡駅、浜松駅の高架化に続いて計画された。二〇〇六年に国の事業認可を受けた後、高架化に伴う貨物駅移転先の沼津市西部の住民を中心に反対の動きが本格化した。

 見直しを求める市民グループが候補者を選挙に送り出したのは、〇七年の市議選から。当選した五人で会派「未来の風」を設立した。以来、市長選と県議選の計三回、見直し派の候補が立ったが、いずれも敗れている。今回は見直し派にとって、一一年の市議選を含めれば六度目の選挙になる。陣営の選対本部長は「まだ根強く見直しを求める市民がいるから争点にしなくてはならない」と話す。

 推進の現職四人に事業を争点化しようという動きは見られない。自民現職二人のうち、一人は告示日の出陣式で、川勝平太知事が昨年九月に事業推進を表明した背景に「私が決断を迫った」と実績をアピール。もう一人は第一声で事業に一切触れず、「高架化事業は争点ではない」と決着済みの立場だ。

 公明現職と民主現職の陣営は、事業に否定的な声を無視しきれない雰囲気だ。公明陣営の一人は「事業を理解していない市民が何となく見直しの声に反応してしまうのでは」と漏らす。民主の選対幹部は「浮動票がどれだけ新人に行くかが鍵だ」と話した。

 統一地方選の後半戦となる十九日告示、二十六日投開票の沼津市議選(定数二八)でも、未来の風や共産の候補者が事業見直しを主張する見通しだ。

(山下葉月)