静岡

候補者ルポ 静岡市長選<下>高田都子さん(62)

2015年4月10日

◆早朝から明るく元気

繁華街で握手作戦をする高田都子さん=静岡市葵区の呉服町通りで

写真

 「ファンです」「女性だから応援したい」。道行く女性から次々に声がかかり、手が差し出される。選挙戦中盤の四日昼すぎ、静岡まつりの見物客でにぎわう葵区の呉服町通りで、無所属新人の高田都子(ともこ)さん(62)が握手作戦をしていた。長年のテレビ番組出演で得た知名度と明るさが武器だ。

 「おめでとう」と妊婦のおなかをさすり、握手を求める女性と抱き合う。初対面の人との距離を一瞬で縮めるのは得意だ。

 出馬表明は、告示まで一カ月を切った三月三日。活気のない商店街と人口減に危機感を募らせ、現職以外に「誰も出ないなら私が」と名乗りを上げた。大手薬局チェーン役員として経営手腕はあるが、政治経験、組織ともにゼロからの短期決戦に挑んだ。

 選挙戦後半に入った六日夕からは、葵区の安東、大岩地区など住宅街を路地裏まで遊説した。遊説風景はいつもインターネットで実況中継する。

 途中の街頭演説で訴えたのは、目玉施策の「女性の市民税ゼロ」だ。「(市外に出た)女性を取り戻したい。市予算から約百億円を生みだす。市内で使えば経済を潤し、雇用が生まれ、人口が増える。消費税が10%になってからでは遅い」。切実な思いを込めて呼び掛けた。人口七十万人を二十年後に百万人にと目標は高い。

 耳を傾けていた女性(63)は「意欲を買いたい。女性の立場で静岡を元気にしてほしい」と初の女性首長誕生に期待した。

 この日は朝六時半のラジオ体操に始まり、JR清水駅前で街頭演説し、企業の朝礼を回って合間に遊説した。日々寝不足だが「これまでも介護であまり眠れなかったから同じ」と陣営スタッフ。脳卒中で二十年前に倒れた母(92)のたんを夜中に取るため長時間の熟睡はできないというが、遊説では常に元気モードに切り替わる。午後八時半前、選挙事務所に戻ると、スタッフとの打ち合わせ。候補者の一日はまだまだ終わらない。

(河野貴子)