静岡

浜松市議選 58人に聞く<中>財政健全化

2015年4月10日

◆公共投資優先が6割

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 将来の人口減少・少子高齢化を見据え、浜松市の財政運営はどうすべきか。力を入れるのは借金残高を減らして財政健全化を進めることか、それとも公共投資を確保することか。浜松市議選の候補者五十八人に優先順位を聞いた。

 学校や、住民票交付などの窓口サービスを担う協働センターなどの公共施設、道路や橋といったインフラの更新や維持管理は、市民の命を守り、生活を充実させるために欠かせない。半面、公共投資で生じた借金(市債)の残高は、年間総予算に匹敵する五千億円近くに上る。少しずつでも減らさないと、返済負担は次世代に重くのしかかる。

 アンケートの回答では、将来の資産となる公共施設やインフラの費用確保を優先すべきだとした候補者が三十六人で全体の62%を占めた。一方、市債残高を削減して次世代の負担を減らすことを優先すべきだとした候補者は十四人で、四分の一足らずにとどまった。

 投資を優先する理由としては「人口減少社会といえども必要な施設・インフラは欠かせない。整備できる時に進める必要がある」(東区・現職)といった意見が多かった。

(%は小数点以下を四捨五入した)

◆必要な事業 確保を

 浜松市議選候補者五十八人へのアンケートでは、全体の六割を、公共施設やインフラの維持・更新を中心とした公共投資を優先すべきだとの回答が占め、市の借金(市債)の残高を減らす財政健全化を優先すべきだとの回答を大きく上回った。

 公共投資優先派は、市民団体から廃止反対の署名運動が起こった市教育文化会館(はまホール、中区)などを念頭に「何もかも廃止では、住民の心が退廃し文化も廃れる」(北区・現職)と主張。「将来世代のために現在世代に我慢を強いるのは納得できない」(天竜区・現職)との意見もあった。

 現行で五千億円近くある市債残高には「他の政令市と比較しても決して多くない。公共施設やインフラの予算はむしろ増額するべきだ」(南区・元職)との指摘もあった。

 どちらとも言えないとの回答の中でも、公共施設やインフラをいったん整備すれば、半世紀にわたり利用できるとして「必要な事業をその時々で確保することが将来の子どものためにもなる」(浜北区・現職)と公共投資の必要性を認める声があった。

 これに対し、財政健全化優先派は、市の財政状況では公共施設・インフラを現状のまま維持・更新していくのは困難との見方をしている。「負の財産が増加すれば、将来的に市民負担が増し、財政破綻を招く」(浜北区・現職)と警鐘を鳴らす。

 「子どもたちの将来負担を減らすことこそ親の望み」(浜北区・新人)と切実に訴える候補者もいる。

(浜松市議選取材班)

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