静岡

候補者ルポ 静岡市長選<中>松浦敏夫さん

2015年4月9日

◆街角演説繰り返す

日曜日の住宅街で雨の中、演説に立つ松浦敏夫さん=静岡市駿河区で

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 雨となった五日、無所属新人の松浦敏夫さん(62)は、この日も午前中から街頭でマイクを握った。「住みやすい静岡市を一緒につくっていきましょう」。終始落ち着いた口調。語りかけるように訴える。

 市民の暮らしを守ると一貫して主張し、ハコもの建設に巨額の予算が使われている現実に異議を唱える。話の流れは決めてあるが、思いがあふれるにつれ、演説は熱を帯びる。

 支援組織を動員しての大規模な演説はしない。「普通に暮らしている市民に考えを分かってもらわないと」。毎日八カ所ほどで、一回二十分の街頭演説をする。市街地が静岡まつり最終日でにぎわっていたこの日も、道路沿いの店舗前や住宅街の一角、公園などを回った。

 車で通り過ぎる人も多いが、中にはマンションのベランダで聞いている人、車中から手を振ってくれる人もいる。

 住宅街で玄関から顔を出していた女性に演説後に近寄り、あいさつした。「家の中で聞いていましたよ。頑張ってください」。握手を交わし、次の演説場所に向かった。

 立候補の表明は告示の約二十日前。年明けに、世話人を務める市民団体「市民が主人公の新しい静岡市政をつくる会」から出馬要請を受けていた。掛川市在住で「静岡市民ではないから迷った」と言うが、庶民の暮らしがなおざりにされている国政を思い「地方行政が防波堤にならなければ」と出馬を決意した。

 推薦を受ける共産党も力を入れ、四日には志位和夫委員長が来県。松浦さんや県議選の静岡市葵区選挙区の党候補を応援し「暮らしと福祉を守る」と訴えた。

 告示後、わざわざ選挙事務所を訪れ「候補者三人の公約を比べ、家族皆で考えるから」とチラシを持ち帰った人がいた。県都のリーダーにふさわしい人を選ぶ選挙に関心を持つ有権者が増えていると、手応えを感じている。

(神谷円香)