静岡

浜松市議選 58人に聞く<上>行政区再編

2015年4月9日

 浜松市の将来を託す人たちは、市政の主要課題にどんな考えを持っているのか。有権者の投票の参考にしてもらうため、本紙は浜松市議選(十二日投開票)の候補者五十八人に行政区再編、公共施設・インフラ整備、議員定数についてアンケートし、全員の回答を得た。三回に分けて紹介する。

◆態度保留 半数占める

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 浜松市議選、市長選の大きな争点の一つは行政区のあり方だ。

 現行の七区は二〇〇五年の合併時に決まり、〇七年の政令市移行時に始まった。合併前の旧十二市町村でそのまま区になったのは旧浜北市のみ。ほかは統合・分割された。八年が経過し、見直しが必要か、それとも維持した方がいいのかが問われている。

 市長選では、現職が見直し派で、再編の是非を問う住民投票の一八年度までの実施を公約している。対する新人は維持派で、区の機能充実を訴えている。

 アンケートでは、二十人(34%)が「統合して減らすべき」と回答、「維持するべき」は半分の十人(17%)にとどまり、見直し派が維持派を大きく上回った。ただ、見直し派も全体では三分の一。「どちらとも言えない」が二十八人(48%)と半数近くを占めており、見直し派が優勢とも言い切れない。

 見直しか維持か選べない理由をみると「市民の意向を調査し、民主的に議論した上で結論を出すべきだ」(南区・現職)といった意見が多く、慎重な姿勢がうかがわれた。

 その上で、住民投票の実施には、十七人(29%)が「賛成」、十一人(19%)が「反対」と回答したのに対し、「どちらとも言えない」が過半数の三十人(52%)を占めた。こちらも市民レベルの議論が先決として、態度を保留する候補者が目立った。

(%は小数点以下を四捨五入した)

◆経費節減かサービスか

 再編を求める側に圧倒的に多かったのは、区の統合を行財政改革の一環と捉える意見だ。「旧浜松市が五区に分割されているのは非効率的。合区し、分散している職場(区役所)を統合して機能強化を図るべきだ」(中区・現職)と訴える。

 市の行政経営諮問会議で、七区を三区に再編することによって年間最大十一億円超の経費が削減できるとした市の試算が示されたことも影響しているとみられる。

 現行区の維持を主張する側は「再編より区の充実を図ることが必要」(浜北区・現職)と区の予算や権限の拡充を念頭に置くコメントが目立った。再編は「市民サービスの低下につながる」(天竜区・現職)との懸念を訴える声が多かった。

 これには再編を求める側も「協働センターの機能を強化するべきだ」(中区・現職)と区役所の代わりとなる各地区の施設の充実が必要と訴えている。

 住民投票に賛意を示した候補者は「市政に市民自ら意見できる機会」(西区・新人)と指摘した。一方、反対を表明した候補者は「住民意識を代表する議会が判断するものだと考える」(西区・現職)と疑問を投げかけた。

 反対または賛否を明確にしなかった候補者の中には、区ごとではなく市内全域で賛否を問う住民投票にした場合に「人口が圧倒的に多い中区住民の意思が中心となり、それ以外の区の住民の意思が反映されにくい」(南区・新人)との声も多く挙がっている。

(浜松市議選取材班)

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