静岡

夜の街 候補に一言!

2015年4月7日

 選挙の街頭演説は毎晩八時までと法で定められているが、もっと遅い時刻に活動する人だって候補者の話を聞いてみたいし、言いたいこともある。十二日投開票の統一地方選前半戦。深夜の街の有権者が市長や市議の候補に何を求めているか、浜松の繁華街で聞いてみた。

◆雇用安定させて 街をもっと明るく

“ブラック企業”に勤めていた時のことなどを歌う和久田充啓さん(中)=JR浜松駅前の北口広場で

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 午後八時半、ズン、ドーン、ズンとヒップホップ音楽の重低音が浜松駅前の北口広場に鳴り響いた。この場所で週に二回演奏をしている六人組の街頭ミュージシャン「アイス・ドッグ・プレイヤーズ」。メンバーの和久田充啓さん(33)は、二年前にこんな曲を作った。

 ♪ ズーン ブラック企業っ、片手間に 五年〜 いや、ろ・く・ね・ん

 給料の不払いが続いた運送会社を辞めたころの歌詞だ。その後に六十社を受けたが、すべて不採用。正社員への道は険しい。「音楽と仕事の両立のためにも雇用を安定させて」と願っている。

 同じ北口広場には、浜松市のゆるキャラ「出世大名家康くん」の人形が立っている。マツなどを丁寧に植え込んだ高さ四メートルの立体造形だが、この街で半世紀にわたりバーやパブを続ける鈴木和子さんはどうも気に入らない。

 「夜になると暗い。ちゃんとネオンとかで明るくしたらいいのに」。一九八〇年代後半のバブル経済のころに比べて衰えた客足と重ね合わせ、「夜の家康くんは街の暗さを象徴しているよう」と嘆いた。

 二〇〇一年に閉館して更地になっている百貨店「松菱」の跡地が、駅前から続く大通りに影を落としている。クリスマスの電飾も昨年から地味になった。「街には人が来たくなる外見が大切」と鈴木さん。市の予算でもっとイルミネーションを増やしてほしいと考えている。

◆ひとり親に支援を 

 近くの認可外託児所「エミール」では、四人の乳幼児がしばしば午前一時を過ぎても起きている。「きちんと眠らせた方がいいんだけどねえ…」と山下晶子代表(42)。

 乳幼児が夜に眠るには、保育園などで昼にきちんと遊ぶ必要がある。でも、一人で子育てをしながら夜の街で働く母親にとって、昼は貴重な睡眠の時間だ。夜更かしの乳幼児は定員いっぱいの保育園に入れずに昼寝の悪循環に陥っている、と山下代表は推測。「行政は認可外の託児施設の補助制度や一人親の支援機関の充実を図ってほしい」と訴えている。

(木許はるみ)