静岡

県議選 注目区を行く<2>

2015年4月7日

富士市(五…8)

   早川 育子 55 公現 当選3回

   菊池 初彦 62 無元 当選1回

   桜町 宏毅 49 民現 当選2回

   西村 綾子 67 共新

   鈴木 澄美 59 自現 当選1回

   植田  徹 65 無元 当選5回

   岡村 義久 49 無新

   遠藤  栄 73 自現 当選8回

◆自民系乱立、初議席狙う共産

雨の中、多くの支援者が詰めかける激戦の富士市選挙区=富士市内で

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 八人が五議席を争う富士市選挙区は自民党籍がある現職、新人、元職の五人が乱立した。民主と公明の現職、共産の新人が出馬し共産は初議席を狙う。

 自民公認はいずれも現職の鈴木澄美さん(59)、遠藤栄さん(73)。ともに元職の菊池初彦さん(62)、植田徹さん(65)は無所属で届けた。無所属新人の岡村義久さん(49)も党員だ。

 自民系の乱立は、植田さんが五期目途中で県議を辞し、二〇一三年の市長選に出馬したのが発端とされる。地盤の市北西部・鷹岡地区などの支援者は、落選後も引き続き植田さんの政治力に期待。鷹岡在住の岡村さんと調整がつかなかった。

 植田さんは国や県とのパイプ役を自任し、新東名高速道路沿いの整備や健康・医療産業の育成を主張する。

 岡村さんは若者や無党派層に焦点をあてる。選挙カーに「49歳」と年齢を入れ、世代交代を求める。

 他陣営に「鷹岡地区の票の食い合い」との見方もあるが、両陣営は共倒れを警戒して支持拡大を図る。草刈り場となっているのが、地盤の候補がいない旧富士川町だ。

 この地で、菊池さんは親類を軸に組織づくりを進めた。公約の柱に、地域で計画中の新々富士川橋の早期建設を据える。前富士市長の支持も取りつけている。

 鈴木さんは、かつて大学非常勤講師を務めた自然・環境分野の専門家をアピール。防災・減災や富士山を活用した地域振興を公約に、草の根で浸透を図る。

 遠藤さんは八期三十二年を務めた実績を強調。組織をフル動員し、地盤の市南部以外にも支持を広げる。関係者は「これまでにない緊張感が漂っている」と明かす。

 過去三回トップ当選だった公明現職の早川育子さん(55)は、引き締めに躍起。陣営幹部は「激しい切り崩しにあっている」と話す。医療・介護の充実などを掲げる。

 民主現職の桜町宏毅さん(49)のもとには、告示日に現職の国会議員三人が駆けつけた。自民系乱立で有利になったとの見通しにも油断なく党や組織を挙げた選挙戦を展開する。

 共産新人の西村綾子さん(67)は「共産議員のいない県議会はチェック機能を果たせない」と主張する。大企業の多い富士市選挙区から、これまで共産県議が生まれたことはない。陣営幹部は、昨年の衆院選の共産躍進や自民系乱立の構図を追い風とみて、「楽観視できないが大きなチャンスだ」と話す。