静岡

県議選 無投票5選挙区が浜松市内

2015年4月4日

◆区再編論に一石

 無投票になった九選挙区のうち、五選挙区が浜松市内に集中した県議選。市内有権者の約54%、三十五万人が投票で意思表示できない事態に、あらためて政令市選出議員の意義や、行政区再編の是非が問われている。 

 天竜区(定数一)で六選を果たした自民現職中谷多加二さん(64)。政令市移行前を含めれば、二期目から五回連続で無投票当選になった。「この四年を評価していただいた結果が無投票だ」と強調する。

 静岡市内三区と富士市、沼津市など定数三以上の八選挙区はすべて、現職に加え、新人や元職が立候補し、選挙戦に突入した。だが浜松市の無投票は天竜区が定数一で、ほか四区は定数二。同市は県内で人口が最も多いが、七区あるため、静岡市などに比べ各区の定数は少ない。天竜区は有権者数が約二万七千八百人で県内最少だ。

 静岡大の日詰一幸教授(行政学)は「小さな選挙区で新人の立候補者を募ろうとしても難しい」と指摘。「行政区再編が行われ、有権者数が十万人を超える選挙区になれば無投票にならないのではないか」と話す。

 定数一〜二の二十五選挙区のうち、浜松市以外で無投票になったのは四選挙区のみ。南区で六選を決めた自民現職小楠和男さん(54)は「政令市移行後、県議の仕事が分かりにくくなった。政令市の県議は半分でいいと思う」と危機感を示した。日詰教授も「県議は県全体や複数の市町にまたがる課題に対処するのが仕事だが、県議の活動が見えづらくなっている」と指摘する。

 県議会二月定例会では、静岡市選出県議から東静岡地区の市有地利用に関する一般質問が続き、川勝平太知事が「二重行政で、静岡市長に聞くべきことを私に聞いている」と指摘する一幕もあった。

 政令市選出県議の存在価値が問われる中、立候補者は今後増えるのか。南区で再選した民主現職の田形誠さん(38)は「政治の環境を変えることが必要だ。二十〜三十代の若い人が政治に参加し、意見を言える環境作りをしていきたい」と語った。