静岡

「議員インターン」の大学生に聞く

2015年4月2日

◆若者の声聞く機会を

 道府県議選と政令市議選の告示が三日に迫った統一地方選では、投票率の行方にも注目が集まる。昨年十二月の総選挙では全国で二十代の投票率が過去最低の32%に落ち込み、国会には選挙権年齢を「十八歳以上」に引き下げる公選法改正案が提出された。「政治離れ」が進む中、静岡市議の元で仕事や考えを学ぶ「議員インターン」に取り組んだ静岡県内の大学生らに、若者が地方議会や選挙に関心を向けるための課題を聞いた。

 NPO法人ドットジェイピー(東京都)が企画した議員インターンに参加したのは静岡大の教育学部二年川口恭奈さん(20)と人文社会科学部二年岩下輝生さん(20)、常葉大法学部二年佐野友哉さん(20)。三人は三月末までの二カ月間、市議の調査活動に同行したり、議会の本会議や委員会を傍聴したりして議員の仕事に接した。

 「インターンを始めるまで市議や県議の仕事を全く知らなかった」と川口さん。岩下さんも「議員さんと話したことなんて一度もなかった」と苦笑する。地域の課題解決に取り組む身近な存在であるはずの地方議員は、若者にとって遠い存在のようだ。

 子育て中の母親らの交流会に市議と参加した佐野さんは「『階段の段差が危険だ』などの話題を、数日後の市議会の委員会で市議が質問していた。市民の声を市政に反映しようとしていることが分かった」と振り返る。

 岩下さんは「事務所に市民から直接電話が掛かってくることもあり、市民と市議が話す機会は意外と多いと思った」と話す。

 昨夏のインターンに参加した静岡福祉大社会福祉学部三年の萩尾光亮さん(21)は「政治とカネのニュースなどで政治家の悪いイメージが独り歩きしている。街頭演説を聞いたり、ホームページを見たりして、若者が歩み寄る必要があると思う」と指摘。「全国若手市議の会」の研修会にも参加し、各地の市議たちが特徴的な取り組みなどの情報を交換していた姿が印象に残ったという。

 議員側の情報発信について、佐野さんは「議員が学校を訪問して生徒たちと意見交換するなど、若い人の声を聞く機会をつくってはどうか」と提言。川口さんは選挙権年齢の引き下げにも触れ「高校生のうちから政治家に接する機会があれば、投票率なども少しずつ改善するかもしれない」と期待した。

 大学生はスマートフォンなどで気軽に確認できるSNSなどでの情報発信も重視している。岩下さんは「候補者のポスターが並んでいても、どう選べばいいのか分からない。現職の議員ならこれまでの具体的な政策を、新人は人柄や経歴を比べられるようにしてほしい」と語った。

(石原猛)