静岡

政令市長選 市民の未来 誰に 各候補が出陣

2015年3月30日

候補者の演説に耳を傾ける大勢の支持者ら=29日午前9時9分、浜松市内で

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 政令市のかじ取り役を誰に託すのか。浜松、静岡市長選が二十九日告示され、各候補の訴えが街に響いた。少子・高齢化で人口減少が進む中、子育て支援や福祉対策にどう取り組むのか。行政区再編や財政健全化を軸にした行財政改革や産業振興にどう臨むのか。有権者が見守る中、あいにくの雨空をはねのけて、熱戦の火ぶたが切られた。

◆浜松市長選 鈴木康友さん

 浜松市では、鈴木康友さん(57)は午前九時、JR浜松駅北口で約五百人の支持者を前に出陣式に臨んだ。第一声で、総市債残高を削減してきた実績を強調、区再編の公約に触れて「行革はまだ道半ば。これからさらに推進していきたい」と主張した。

 スズキの鈴木修会長兼社長や浜松商工会議所の大須賀正孝会頭など地元経済界の重鎮も応援演説に駆けつけ、行革を推進する鈴木さんへの支持を呼び掛けた。鈴木会長は「(区を減らして)大きな市役所、小さな区役所を実現すれば、年間十億円が浮く」と訴えた。

 鈴木さんはこの日、選挙カーで北、浜北、天竜区を回り、最後は春野町で個人演説会を開いた。演説会に参加した天竜区春野町気田の縫製業男性(73)は「これからは金をたくさん使う時代じゃない。市の借金を減らしていこうという姿勢に共感した」と話した。

◆浜松市長選 嶋田博さん

 嶋田博さん(66)は、午前十時から、浜松市中区の選挙事務所前で出陣式。推薦を受けた共産党の関係者や有権者を前に「市民の命と暮らしを守る市政を進めていきます」と声を張り上げた。行財政改革の一環で進む公共施設や小中学校の統廃合を批判し、行政区再編については「七区でも、市民と区との間が遠いといわれている。市民に役立つ身近な区役所にするため、現行七区を守っていきます」と強く訴えた。

 演説を聴いた主婦の佐藤直子さん(73)=中区=は「静かで平和に暮らすために嶋田さんに期待してる。細やかな市民サービスを提供してほしい」と話した。

 第一声が終わると、集まった支援者との握手もそこそこに、選挙カーへ飛び乗って街頭に。JR浜松駅前で演説したほか、人が集まる中区のショッピングセンターを中心に回り、支持を訴えた。

◆静岡市長選 田辺信宏さん

 静岡市では、再選を目指す田辺信宏さん(53)は、葵区の市役所前にある青葉シンボルロードで出陣式を開いた。午前九時、新品のスーツと赤いネクタイにたすき姿で登壇。集まった支援者を前に「世界に輝く静岡市の実現に向け、七十万人の人口活力維持と地域経済の活性化に尽くすのが私の志」と第一声を上げた。

 続いて葵区の繁華街にある呉服町スクランブル交差点に移動。「静岡を元気にします」と呼び掛けながら、休日の街を行く人たちと握手をして支持を訴えた。同区の男性会社員(57)は「市長には目に見えるような成果を出してくれる人になってもらいたい」と要望していた。午前十一時からは清水区のJR清水駅東口でも出陣式があった。

◆静岡市長選 松浦敏夫さん

 松浦敏夫さん(62)は午前九時半、葵区新富町の共産党静岡地区委員会前の交差点で第一声を上げた。「市民の暮らしのために」と繰り返し、県商工団体連合会事務局長を務めた経験から地域経済の立て直しを訴えた。

 交通量の多い交差点で、通りがかる車の中から視線を向ける人も。演説後は集まった支援者一人一人と丁寧に握手して回り、派手なコールはせずに遊説に出発した。落ち着いた口調やたたずまいに「市長の風格がある、堂々としている」と感心する人もいた。

 福祉施設やスーパーの前でもマイクを握り「車から手を振ってくれる人もいて反応が良い。年末の総選挙で躍進した党に良いイメージを持ってもらっているのでは」と話した。

◆静岡市長選 高田都子さん

 高田都子(ともこ)さん(62)は午前十時、清水区の世界文化遺産三保松原(みほのまつばら)で、富士山を背に第一声を放った。観光地の海岸で「動員ゼロ」(陣営関係者)という型破りな出陣式。関係者が演説を見守った。

 赤いジャケット姿で「市の人口が減っている一番の理由は清水区からの流出。まずは清水区を輝かせることでさらに静岡が元気になる」と訴え、目玉施策の女性の市民税ゼロと観光、地場産業発展、企業誘致に力を入れると強調した。

 遊説しながら清水区蒲原の花見会場にも立ち寄り、来場者に施策を説明して支持を求めた。物産販売をしていた三十代の女性は「市民税ゼロに一票入れたくなりますね」と渡されたビラに目を落としていた。