静岡

若者も見ている 浜松市長選 公約に注文

2015年3月30日

◆20代「街コン」参加者に聞く

告示前日に開かれた市長選の公開討論会を伝える新聞を手に、政治を考える「街コン」参加者=浜松市中区で

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 統一地方選の五政令市長選が始まった二十九日、浜松市中心部では大規模な婚活イベント「街コン」が開かれていた。参加者は、出会いとときめきを求める二十代の男女二百人。投票にあまり行かないとされる世代だが、候補者の声にさりげなく耳を傾け、ちゃんと街の未来を考えている。浜松市長選の候補者二人の公約を見てもらったら、注文が次々と飛び出した。

 「雇用を増やし、子育て世代が希望を持って働けるようにして」。女友達と二人で参加した北区の女性(27)は昨年八月から無職。サービス残業の多さに耐えかね、販売の仕事を辞めた。この日の街コンで知り合った男性らは夜勤の多い工場勤務が多く、「疲れがたまって仕事を辞めてしまわないか」と不安定に見えたという。

 浜松市長選で現職の鈴木康友さんが掲げる「保育所の待機児童ゼロ」という基本方針に「今の保育所の数が少なすぎるだけ」とかみついたのは、同様に求職中の北区の女性(23)。友人は共働きを続けるため自宅から遠い保育所に子供を通園バスで通わせている、とぼやいた。

 一方、南区の会社員河野孝典さん(25)は、「原発ゼロ・浜岡原発廃炉に」という新人の嶋田博さんの重点政策に目を留めた。「原発を無くせば電気代が上がるのでは。政策を並べるだけじゃなく、それを実現するための具体的な方法を示して」と指摘した。

 「かんぱーい」。初対面の男女四人がビールグラスを片手に談笑を始めた。現職も新人も近くの浜松駅前で選挙カーを走らせていたが、街コン会場の居酒屋にその声は聞こえない。南区の会社員男性(25)は「どうせ彼ら自身の名前を連呼しているだけでしょ」と苦笑い。「大阪の橋下徹市長みたいにインターネットをうまく使って僕たち若者にも情報を発信して」と提案した。

 山間部の天竜区で暮らす榊原知明さん(29)は、宅配便の配達員。地元の原田橋が一月に崩落したため、仕事中に二時間半の迂回(うかい)を強いられる時期があったという。「もっと中山間地に目を向けてほしい」と訴えた。

(宿谷紀子、木許はるみ)