静岡

静岡市長選 県都の課題<下>東静岡 土地活用は

2015年3月29日

20年以上活用策が決まらない市有地。この間に市長は3人代わった=静岡市葵区で

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 JR東静岡駅北口にある二・五ヘクタールの市有地は、好立地ながら二十年以上、空き地のままだ。サッカースタジアムや多目的アリーナの建設構想があるものの、市民からは「商業施設にしたら」「子どもが遊べる施設を」と異議を唱える声も多い。

 市有地は一九九二、九三年度に旧国鉄用地六・八ヘクタールを市が百三十四億円で購入。その後売却などで二・五ヘクタールに減った。当初、浮上したのは多目的アリーナ構想だ。その後、旧清水市と合併後の新市庁舎に変わったが、厳しい財政状況で断念。市は県の草薙総合運動場体育館をアリーナとして市有地に移転するよう要望した。しかし、川勝平太知事の就任後、移転は中止になった。

 二〇一四年には、市体育協会が多目的アリーナ建設を、清水エスパルスが新スタジアム建設を市に要望したが、スタジアム建設も課題がある。現在のエスパルスのホームグラウンドは球場のみで二・三ヘクタールあり、市有地に建てるには手狭だ。

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 田辺信宏市長(53)は一五年度からの市政運営指針となる第三次総合計画で、市有地の具体的活用策に踏み込まなかった。「東京五輪で人件費、資材費が高騰している時期に投資するべきではない」と、当面イベント広場として使う方針だ。

 薬局会社役員の高田都子(ともこ)さん(62)は「清水エスパルスの新サッカースタジアムを提案する。早く決めなくては」との考え。前県商工団体連合会事務局長の松浦敏夫さん(62)は「スタジアム、アリーナともに他施設と重複し無駄。イベント広場や緑地広場にする」と訴える。

 静岡市同様、旧国鉄用地十七ヘクタールを購入した札幌市は区画整理で公共施設を造り、二・八ヘクタールを売却した。今は大型商業施設ができている。

 市内でまちづくりを研究する静岡地域学会会員の望月誠一郎さん(65)は、売却も選択肢の一つとして「リニア中央新幹線ができると静岡は通過県になってしまう。国の機関やアニメ、模型やガンダムの常設展示場など、独自性があり世界と競争しても人を呼べるものでなくては」と幅広い選択肢を持つよう提案する。

(河野貴子)