静岡

節目のはままつ<上>人口減少

2015年3月26日

 県内で唯一、市長選、県議選、市議選のトリプル同日選が行われる浜松市。合併十年の節目は、市の目指すべき姿が問われる節目にもなっている。市の将来を左右する重要課題への市の対応と、各党・各会派が打ち出している方策を紹介していく。

◆育児支援で歯止め模索

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 静岡県内最大の「八十万都市」が「六十六万都市」に縮小してしまう−。

 衝撃の数字を伝えるのは浜松市が二年前にまとめた市人口の将来推計。少子高齢化が進み、二〇一〇年の約八十万人が、今から三十年後の四五年には17%減って六十六万四千人になる。

 特に六十五歳以上の高齢者は、四人に一人から、五人に二人の二十五万二千人に増加。半面、働き手(十五〜六十四歳)は五十万四千人から三十四万人と人口の半分近くに減ってしまう。推計通りなら、市の運営を支える税収は減る一方だ。

 衰退に歯止めをかけるため市は、働く世代の暮らしを重視。待機児童の解消を目指すなど子育てに適した環境づくりに力を入れる。

 現状では、仕事と育児の両立を支える保育園やこども園は、定員を増やしても需要の高まりに追いついていない。一四年度当初は定員を二百八十人増やしたが、待機児童は三百十五人に上る。子どもの入園を希望しながら選外となった会社員男性(35)は「夫婦のどちらかが仕事を辞めないといけない。このままでは浜松に住み続けられない」と途方に暮れる。

 これに対し、市は「子ども・若者支援プラン」をまとめ、一九年度までの待機児童ゼロを目標にする。一六年度当初に定員を千九十人増やすのをはじめ各年度で増員を予定するが、共働き世帯の増加などで、なお十分とは言い切れない。

 このほか市はこれまでに子どもの医療費自己負担の軽減や不妊治療への補助上乗せといった子育て支援策をとってきた。一五年度に就園前の子どもや保護者が集う「子育て支援ひろば」を増やすなど、妊娠から育児までの各段階で支援の充実を図ろうとしている。

 待機児童問題は、市議会各会派も共通して重要課題に挙げ、政策集や市への政策提言に盛り込んでいる。

 労働組合出身議員らでつくる市民クラブは、地域ニーズに合わせて、保育士の人数など国が定めた設置基準を満たす認可保育園や、市の独自基準を満たす認証保育園の拡充を掲げる。共産党も「認可保育所の増設による待機児童解消を」と訴える。

 最大会派の自民党は、不妊治療の助成充実や子育て支援ひろばの拡充などを政策集に明記した。鈴木康友市長に近い第二会派の創造浜松は「市に人口減少・少子対策の担当部署を創設すべきだ」と主張。公明党は子育て、教育、就労を一つの窓口で受け付ける「女性総合相談センター」の実現を目指している。

(久下悠一郎)