静岡

「一票の格差」県議選2.47倍

2015年3月25日

写真

◆衆院選「違憲状態」判決上回る

 四月の統一地方選で行われる静岡県議選(三日告示、十二日投開票)で、選挙区内の人口が最も少ない浜松市天竜区(定数一)を基準にした「一票の格差」が最大二・四七倍に上ることが、中日新聞の調査で分かった。二〇一二年の衆院選で「違憲状態」と判断された格差の水準を上回っている。専門家は「地方議員の選挙でも一票の価値を等しくする方が望ましいが、地域ごとの事情への配慮も必要だ」と指摘する。

 県が発表した三月一日現在の推計人口を基に算出した。議員一人当たりの人口が最も多いのは牧之原市・吉田町(定数一)で七万四千九百九人。最少の浜松市天竜区は三万三百七十五人で、差は二・五倍近い。一票の格差は計七選挙区で二倍を上回っていた。

 県議会は昨年三月まで、特別委員会で選挙区割りや定数の見直しを議論した。各会派の意見が一致せず、四月の選挙は前回選と同じ定数六九で実施することになった。特別委は一〇年度の国勢調査人口に基づいて議論し、一票の格差は最大二・三二倍だった。山間部の人口流出などで五年間で格差は広まった。

 一二年の衆院選では一票の格差が最大二・四三倍に広がり、最高裁が「違憲状態」の判決を出した。地方議会では公選法の規定で、離島など選挙区の合併が困難な場合に「特例区」を設けることができ、一九九一年の愛知県議選では最大五・〇二倍の格差が特例区の規定で「合憲」と判断されている。静岡県議選の選挙区に特例区はない。

 二月一日現在の推計人口から算出した浜松市議選の一票の格差は、最大で一・八七倍。一議員当たりの人口が最も少ない天竜区(定数三)に対し、浜北区(定数五)が一・八七倍。北区(同)が一・八五倍、西区(定数六)が一・八二倍だった。

◆格差の解消弊害も

 日詰一幸静岡大教授(行政学)の話 県議はそれぞれの地域の代弁者であり、県全体を代表する存在でもある。県民の権利を平等にするためにも、一票の格差は解消された方が望ましい。選挙区の合区を進めれば、格差を減らすこと自体は可能だ。ただ過疎化が進み、課題を抱えた地域から議員がいなくなれば弊害もある。人口が少ない地域から議員が選出される意義を県民が納得することが大事で、説明責任が求められる。