静岡

県議選「一票の格差」 是正か特例区導入か

2015年3月25日

◆定数増での解決困難

写真

 四月十二日投開票の静岡県議選は、最新の推計人口に基づく「一票の格差」が七選挙区で二倍以上のまま実施される。是正を求める声がある一方、人口に基づく定数配分をすれば中山間地の議員がいなくなる可能性も。選挙区内の人口が最も少ない浜松市天竜区(定数一)には「地域の特性を考慮して定数を考えるべきだ」との声もある。

 天竜区選出の中谷多加二さん(自民改革会議)は「地域の人口だけで定数を議論すべきではない。中山間地ならではの課題も多く、問題を訴える住民の代弁者が必要だ」と強調する。人口が密集する地域に比べて小売店などの事業者が少なく、行政サービスの重要度が高いことも、議員が必要な理由だと指摘する。

 原田橋の崩落があった天竜区佐久間町の村瀬智さん(77)は、一票の格差は公正さを欠いていると感じつつも「人口が少ないところほど議員は大きな存在。住民の声を届けるよりどころだ」と話す。

 一方、選挙区内の人口が天竜区の二・五倍近い清水町・長泉町選挙区。同区選出の高田泰久さん(ふじのくに県議団)は「県民の一票の権利を平等にするためにも格差は是正されるべきだ。現在も選出議員がいない自治体はあり、一部の選挙区を特別視するのはおかしい」と訴える。天竜区との格差が最も大きい牧之原市・吉田町選出の大石哲司さん(自民改革会議)は「議会全体で現在の区割り、定数に合意した。選挙区内の人口に差があることも受け入れている」と話す。

 全国の地方議会で議員数の削減が進む中、定数増による格差是正は難しい。県議会も二〇一一年の前回選で五選挙区の定数を削減した。

 中谷さんは「広さや地域の特性を考慮し、一部の選挙区には人口にかかわらず定数を割り振る『特例区』を導入した方が良いのではないか」と提言。県議会の特別委員長を務めた小楠和男さん(自民改革会議、浜松市南区)は「一五年度には再び国勢調査が行われる。改選後の議会で全体の定数と合わせて議論することになるだろう」と話す。

(石原猛、勝間田秀樹)