静岡

浜松市長選 8年ぶり選挙戦

2015年3月12日

◆共産 県・市議選に相乗効果

 浜松市長選に県西部地区労働組合連合議長の嶋田博氏(66)が11日に出馬表明し、現職の鈴木康友氏(57)が初当選した2007年以来8年ぶりの選挙戦が確定した。共産党が県・市議選との相乗効果を狙うのに対し、現職は行政区再編などの公約を浸透させる好機ととらえ、受けて立つ構えだ。 (古田哲也、長崎高大、高橋貴仁)

 嶋田氏は記者会見で出馬について「迷った。理想では市議をやって市政を分かってから出るのが本当。なかなか(人材が)いなかったということ」と述べた。共産党などから出馬を強く要請され、悩んだ末に決断した経緯をにおわせた。

 四年前の市長選では、鈴木市長の対抗馬が現れず、政令市初の無投票で再選を許した。擁立できなかった同党などは批判を浴びた。このため今回は危機感が強く「何としても連続無投票にはしない」と同党県委員会幹部も浜松に足を運び嶋田氏を説得したという。

 対抗馬擁立は、同日選となる県・市議選に好影響をもたらすとの読みもある。

 市長選は現時点で鈴木、嶋田両氏の一騎打ちの様相。市長選で現職に対する批判の受け皿を目指す嶋田氏と、県・市議選の公認候補が共闘すれば、県・市議選でも現市政への批判票が取り込みやすくなる。

 同党は県議会で議席ゼロの解消を、市議会でも議席増を目指す。関係者は「三つの選挙は訴える政策も共通点が多く、擁立効果は期待できる」と話す。

◆現職 行政区再編、浸透狙う

 迎え撃つ鈴木市長は、嶋田氏の出馬表明後、市役所で記者団に「選挙戦ができるのは良かった。八年間の実績、次のマニフェストを有権者にしっかりと訴えていく」と淡々と語った。

 陣営は、連続無投票では「政策が本当に市民に信任されたのか分からなくなる」(後援会幹部)との懸念を抱いていた。選挙戦では個人演説会などで政策を繰り返し訴えることが可能。公約には、区再編の推進など市民の理解を深めなければ実現できない政策も含まれており、対抗馬の出現は歓迎すべき状況と受け止めている。