静岡

対決 静岡市長選<下>田辺市長 支持固め進む

2015年3月5日

◆4年の成果 訴える好機

静岡市長2期目への意欲を話す田辺市長=3日午後、静岡市役所で

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 「四年間やってきたことを選挙戦で訴えるチャンスをいただいた」。三日夕、大手ドラッグストアチェーン「ウエルシア薬局」取締役、高田都子(たかたともこ)さん(62)が静岡市長選への立候補を表明したのを受け、市役所で取材に応じた田辺信宏市長(53)は笑顔で答えた。「どなたが出るにせよ、ギアチェンジをして世界に輝く静岡の実現という第三次総合計画(三次総)を加速させていくぞという気持ち」と意気込みを口にした。

 二〇一一年の前回選は、自民党や連合静岡、市内の有力企業など五百を超える団体の推薦を受け初当選した。今回も「オール静岡」で態勢を組む方針で、既に自民党と連合静岡が推薦を決定。公明党県本部も党本部に推薦を上申している。市議の大半も支援に回り、支持固めが着々と進む。

 後援会事務所も二月十五日、葵区と清水区に開設した。事務所幹部は「対抗馬が出たことは話題にはなったが、地道に前進するだけ。現職だからとおごることなく、最後まで気を抜かないことが重要」と話す。

 静岡市は人口七十万五千七百五十四人(二月一日現在)で全国二十の政令市で最少。この四年で一万人近く減り、企業の市外移転などで停滞感が漂う。懸案のJR東静岡駅北側の市有地約二・五ヘクタールの具体的な活用法も見いだせず、川勝平太知事や一部の市議、市民からは「何も決められない市政だ」と不満が漏れる。

 ただ昨年十二月一日の市議会十一月定例会で正式に出馬表明してからは、市長の言動に変化もみられる。三次総の策定では「選択と集中で優先順位を決めた」と決断力をアピール。ことあるごとに「人口七十万人維持」を掲げ「ギアチェンジ」「スピードアップ」と加速を強調している。

 東静岡問題では、開会中の市議会二月定例会で「二〇二〇年の東京五輪までには建設資材や人件費の高騰が見込まれる。二〇年を目途にして見定めながら方針決定していく」と活用策を慎重に検討している理由を説明。「市民、市議会、各種団体の熱い思いを受け止める一方で、地区全体の影響などを総合的に勘案していく」と力説した。

 田辺市長は三日、報道陣から高田さんの印象を問われ「小さな薬局を大きなチェーンにした。素晴らしい女性」と評価。一方、自身の一期目も「新しい公共経営という考え方で、民間企業の生産性の高さを市政に導入してきた」と自賛し、こう続けた。「行政経営には企業経営とは違った手法が必要。私は四年間やって自信を深めた」

 二十九日の告示に向け、共産党も候補擁立を目指している。

(横光竜二)