長野

まちづくりの前進決意茅野市長選3選・柳平さん

2015年4月27日

3選を決め万歳する柳平千代一さん(中央)=茅野市ちので

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 「公約に掲げた安全、安心、確実のまちづくりをしっかりと果たせよ、との叱咤(しった)激励だと受け止める。自信をもって進めていく」

 茅野市長選で三選を果たした無所属現職の柳平千代一さん(61)は午後八時に当確の一報を受けてすぐに市内の祝勝会場に姿を現し、歓喜する支援者とがっちりと握手。表情を引き締め、決意を語った。

 新人候補との一騎打ちとなったが、市政運営の方向性に大きな違いはなく、論戦の盛り上がりはいまひとつ。投票率は59・93%と前回の64・60%を4・67ポイント下回った。

 柳平さんは二期八年力を注いできた公民協働による市政運営の推進を強調。自主防災組織の充実強化や縄文文化を生かした地域振興、豊富な水資源の有効活用などを公約に、続投を訴えた。

 遊説先では積極的に市民と握手を交わして親しみやすさをアピールした。市内全域にくまなく広がる後援会は、業種別に支持者を集めた個人演説会や八百人規模の総決起大会を開くなど、終始引き締めに奔走。手堅く支持をまとめた。

 無所属新人の野沢明夫さん(60)は「調整型から決断の市政へ」を掲げ、産業振興担当副市長の選任などの政策で市政転換を訴えたが及ばなかった。支援者が集まった会場で「私の力不足。現職には選挙戦で訴えた私の政策を生かしてほしい」と唇をかんだ。

◆公民協働の実効性が課題

<解説>

 茅野市の有権者は三たび、柳平千代一さんに市政のかじ取り役を託した。市民が主体的に関わり、行政が支援する「公民協働」によるまちづくりを支持し、安定した発展に期待を掛けたといえる。

 柳平さんは二期目に、防災を切り口に地域コミュニティーの強化を図る「災害に強い支え合いのまちづくり条例」を制定。各種市民団体の連携拠点「市民活動センター」(仮称)の設置も軌道に乗せた。就任以来、公民協働の「仕組み」づくりを進めてきており、三期目はその実効性が問われることになる。まさに正念場だ。

 八ケ岳山麓の高原のまちとして、観光振興は大きな課題だ。二〇一一年に行政主導の市観光協会が発足したが、「全体的なビジョンがない」との指摘もある。

 ホテルの廃屋問題や太陽光発電施設建設への反対運動も顕在化。豊かな観光資源を守り、活用していく政策が求められる。

 選挙で信任を得たとはいえ、今後も丁寧な市政運営を心掛けなければならないのはもちろんだ。縄文の文化と精神性をまちづくりや教育に生かすアイデアは斬新だが、進め方によっては独り善がりになりかねない。

 引き続き財政の健全化に努めながら、市民と約束した「みんなでつくる、みんなの茅野市の総仕上げ」を実現してほしい。

 (中沢稔之)