長野

無投票で金子さん初当選諏訪市長選

2015年4月20日

無投票当選となり笑顔であいさつする金子ゆかりさん=諏訪市上川の事務所で

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 諏訪市長選は、県議から転身した金子ゆかりさんが、強力な後援会組織を後ろ盾に無投票で当選を決めた。市長選の無投票は一九九一年四月以来二十四年ぶり。しかし公約の発表は告示のわずか四日前で、政策が広く受け入れられたとは言い難い。「培ってきた地域の素材を磨き、地方創生のチャンスをつかむ」との約束を、市民の声に耳を傾けながらどう実行していくか。かじ取りが試される。

 JR上諏訪駅周辺の再生、旧東洋バルヴ諏訪工場跡地の有効活用と、同市では先送りできない問題が待ち構える。公約では、これらを含めた市中心部の将来ビジョンを検討会議を設けて策定するとしているが、早期に結論を導き出す必要がある。

 一九九一年に二千四百五十一億円に上った市内の製造品出荷額は七百六十七億円まで低迷。製造業のまちとして活性化も求められる。五万人を割り込んだ人口減少対策も重要だ。顕在化するあらゆる難題に、覚悟をもって取り組まなければならない。首長の責任は議員以上に重い。

 公約の一つに掲げた諏訪地域六市町村の連携強化のけん引役になれるかどうかも注目される。現市政は四期十六年続いた。地域に漂う閉塞(へいそく)感を打破するためにも、清新さと個性が光る市政運営を期待したい。

 (中沢稔之)