長野

16選挙区で舌戦スタート

2015年4月4日

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 統一地方選前半戦の県議選(定数五八)は三日告示され、八十六人が立候補を届け出た。二十六選挙区のうち、十選挙区の十五人が無投票で当選が決まり、残り十六選挙区の四十三議席を争う九日間の選挙戦に突入した。昨年相次いだ災害への対応や、人口減少を見据えた地方創生の道筋などが焦点となる。投票は十二日に実施され、即日開票される。

 無投票となった選挙区も合わせた立候補者八十六人の内訳は、現職五十一人、元職三人、新人三十二人。うち女性は八人で前回より二人減った。四年前の八十四人に次ぎ、過去二番目に少ない。

 党派別では、自民二十人、民主五人、維新一人、公明三人、共産十人、社民二人。諸派が一人、無所属は四十四人だった。前回より公認候補を増やした自民や共産が勢力を伸ばせるかや、公認候補が前回から半減した民主が現有勢力を維持できるかが注目される。社民、公明は現職全員の当選、維新は県議会初の議席獲得を目指す。

 立候補の届け出を済ませた候補者は、選挙カーに乗り込んで街頭へ繰り出し、それぞれの政策を訴えた。

 県選管の深沢賢一郎委員長は有権者に向け「候補者の政策や見識を見極め、県政を託す代表としてふさわしい人を選んでほしい。特に若い有権者は積極的に投票に参加して」との談話を発表した。

◆リニア見据え主張 飯田市区

選挙戦に向けた候補者の決意に耳を傾ける支持者ら=飯田市で

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 現職三人、新人二人が立候補した飯田市区(定数三)。リニア中央新幹線の着工を控える中、第一声では多くの候補者が市民の関心が高い今後のまちづくりに言及した。

 前回トップ当選の無所属現職の小島康晴さんは「どの地域でも、住んでよかったと思える公平な県政が必要だ」と北高南低の地域間格差を指摘。リニア開通に向け「県に支援してもらい、元気な飯田のまちづくりを進めていく」と訴えた。

 自民現職の小池清さんは「三十年来の悲願だったリニアが現実となる。飯田を他地域に負けない中核市にしたい」と第一声。「地域の発展のため力を貸してほしい」と訴え、支持者らと「頑張ろう」と気勢を上げた。

 共産新人の水野力夫さんは八十人の支持者に「暮らしを応援し、平和を守る」と強調。リニアについては「説明がないまま計画が進んでいる。JR東海や県にものが言える、飯田の新しい力として押し上げてほしい」と支持を求めた。

 八選を目指す自民現職の古田芙士さんは「若者が活躍しないと県南部の発展はない」と、定住促進のための産業振興などを主張。リニアによる地域活性化は「この二〜三年が大切。県政の目を南信に向けさせる」と訴えた。

 無所属新人の河野勉さんは「人と心を復興するために頑張る。住みよいまちにするためには原点から見直し、変えねばならない」と第一声。支持者から「エイエイオー」とかけ声が飛び、遊説に出発した。

◆新人3人意欲熱く 諏訪市区

出陣式で掛け声に合わせ支持者と拳を上げる候補者=諏訪市で

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 諏訪市区(定数一)は、現職の諏訪市長選への転身を受け、いずれも無所属新人で元市議の三人が立候補。出陣式の第一声では、市民と県政を結ぶ役割に意欲をみなぎらせた。

 今井愛郎さんは「まちづくりは人づくりから」と力を込め、県の地方事務所単位に指導主事を置くなど、教育の充実を主張。災害に強いまちづくりの実現も掲げ、「ちゃんと物が言える政治家を送り出してほしい」と呼び掛けた。

 森山広さんは、キャッチフレーズの「聞く、動く、働く」を演説に織り交ぜ、行動力をアピール。地域課題に人口減少対策やものづくり振興などを挙げ、「皆さんと心を一つにし、皆さんの声を県政に伝えていく」と支持を求めた。

 横山真さんは、市議会で副議長などを務め「一人一人の声を丁寧に聞き、市政に反映させてきた」と実績と政治信条を強調。具体的政策よりも「地方の時代。市町村の壁を越えて諏訪圏域の発展を目指す」と熱い思いを前面に出した。

◆一騎打ち施策訴え 木曽郡区

 前回選と同じく現職と新人による一騎打ちとなった木曽郡区(定数一)。両候補者は広い郡内を回って防災対策や地域づくりなどの施策を訴え、支持を呼び掛けた。

 無所属新人の三浦茂樹さんは、木曽町福島の事務所前で第一声を放った。高齢化と過疎化を挙げ「木曽は消滅に近づきつつある」と危機感を訴え、「健康医療の総合地域として人と物、お金が回る場所にしたい」と意気込んだ。

有権者と握手を交わす候補者(左)=木曽町で

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 無所属現職の村上淳さんは木曽町と上松町で出陣式に臨み、昨年の南木曽町の土石流と御嶽山噴火を踏まえ、災害対策の重要性を強調。「三期十二年で県庁に木曽を応援する態勢ができた。パイプを生かし地域を元気にする」と声を張り上げた。