長野

<県議選 各区の情勢>(1)南信地区(上)

2015年3月22日

 四月三日告示、十二日投開票の県議選(定数五八)まで二週間を切った。選挙戦は、国の進める地方創生や、二〇二七年の開業に向けて本格工事が始まるリニア中央新幹線への対応などが焦点となりそうだ。県議会の政党勢力図がどう変化するかも注目される。二十六選挙区の情勢を探った。

【飯田市区】(定数三)

古田 芙士74自現(7)

小池  清57自現(3)

水野 力夫35共新

小島 康晴59無現(2)

 現職三人に新人一人が挑む。他にも無所属新人が立候補の意向を示しており、近く正式表明する。リニア中央新幹線中間駅へのアクセス道路整備が具体化する中、リニアを見据えた街づくりをめぐる論戦になりそうだ。

 八選を目指す古田は強固な組織を背景に支持拡大を狙い、青年部をつくって若年層や無党派層への食い込みも目指す。長年の経験や知識を生かした県と地元のパイプ役の必要性を強調する。

 小池は市内全域に後援会組織を置き、あいさつ回りを展開。リニアを契機にした中北信地域との格差解消を訴える。第二県庁設置を模索する県議らでつくる研究会の会長である点もアピールする。

 水野は昨年の衆院選で得た票の上積みを目指し、無党派層への浸透を図る。国道沿いでの街宣のほか、保育園の近くで医療費の窓口無料化などを訴え、子育て世代を中心に支持拡大を目指す。

 前回トップ当選の小島は労組への働きかけや各種団体への推薦取り付けを強める。地盤の中心市街地に重点を置きつつ各地でミニ集会も計画。人口減で存続が危ぶまれる集落への対応を訴える。

【伊那市区】(定数二)

向山 公人72自現(4)

酒井  茂62無新

 昨年中に立候補を表明した現職、新人各一人が着々と準備を整えている。

 向山は市内各地区の後援会支部を中心に支持固めを図り、商工業団体の支援も取り付けた。リニア開業を見据えた地域振興や、来年開校予定の南信工科短期大学校を中心にした人材育成を訴える。

 酒井は副市長を含めた行政経験と即戦力をアピール。引退する木下茂人が支援の意向を示している。後援会の組織づくりは中山間地から進め、高速交通網整備を念頭にした産業振興を強調する。

【下伊那郡区】(定数二)

高橋 岑俊70自現(1)

吉川 彰一44無現(2)

児島 博司65無新

 郡北部に地盤を持つ現職二人に、南部出身の新人一人が挑む。

 高橋は宮下一郎財務副大臣や吉田博美参院議員の後援会から支援を受け、郡内十三町村すべてに支部を置く。第二県庁の早期実現やリニア開業を見据えた地域活性化を訴える。

 民主推薦の吉川は一月に脳出血で倒れて入院中だが、今月末には退院の予定。後援会は地元を中心に票固めに力を入れており、医療福祉体制の充実などに重点を置く。

 児島は郡南部から北部への浸透を図る。「地方事務所の機能を充実すべきだ」と第二県庁設置には反対し、経営者の立場から飯田下伊那の一体的な発展を訴える。

【駒ケ根市区】(定数一)

佐々木祥二63無現(4)

 佐々木のほかに立候補の動きは表面化しておらず、無投票の可能性がある。後援会事務所開きには宮下財務副大臣、杉本幸治市長、保守系市議らが勢ぞろいし、強固な関係をアピールした。

【注】立候補予定者の掲載順は政党、諸派、無所属で、政党は衆院勢力順。同一党派では現職、元職、新人の順で、現職は当選回数順。新人は五十音順。党派略称は、自民=自、民主=民、公明=公、共産=共、社民=社、諸派=諸、無所属=無。

 (敬称略、統一地方選取材班)