長野

<党派の動き>(下)民主、社民、共産、維新

2015年3月13日

県議の引退を表明する民主の倉田幹事長=2月、長野市で

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 「政権与党だった前回選と違って、今回は野党の立場。失った信頼は、まだ戻っていない」。民主県連の倉田竜彦幹事長は、党の置かれた厳しい状況を認める。

 県連が県議選の公認候補として擁立したのは五人で、前回選から半減した。県連幹部は「民主の看板では戦えないということだろう」と内情を明かす。長年にわたり県連を引っ張ってきた倉田幹事長も引退を表明しており、公認と推薦を合わせて現有十二議席を維持する目標を掲げる。

 昨夏の知事選で共産を除く主要各党が阿部守一知事の支援に回ったため、一期目の当選を支えて、「知事与党」で主要な立場を保ってきた民主の存在感は相対的に低下。昨年末の衆院選では長野3区で議席を奪われ、県選出の衆院議員が二人から一人に減った。

 かつての「民主王国」の面影は失いつつあるが、明るい兆しも見え始めている。昨年の衆院選で、県内民主候補の小選挙区の得票数は、前回選より二万五千票増えている。

 倉田幹事長は「統一選の活動を通じて訴えを浸透させ、(来年夏の)参院選につなげたい」と意気込む。地域版の公約をまとめた「信州版マニフェスト」を近く発表し、地方創生などで自民との違いを訴える方針だ。

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 県議会で民主と同一会派を組む社民県連は県議選に公認二人と推薦四人で臨み、現有議席の維持を目指す。

 昨年衆院選の県内小選挙区で候補者擁立を見送った。竹内久幸代表は「国政では厳しい現状はあるが、社民党は今、地方議会が主体の党だ。来夏の参院選につなげる結果を出したい」と語る。

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 衆院選で比例北陸信越ブロックで十一年ぶりに議席を獲得し、勢いに乗る共産。県議選で現職五人を含む十人を公認し、さらに擁立の可能性を探る。現有六議席を上回る十人以上を当選させる強気の目標を掲げる。県議団長の石坂千穂県議が引退する長野市区では二議席維持を狙う。

 知事選で唯一、阿部知事への対決姿勢を打ち出した。鮎沢聡県委員長は「オール与党のなれ合い県政から転換が必要だ」と語る。子どもの医療費窓口無料化に加え、リニア中央新幹線の開業に向けて県が進める道路整備など大型事業の見直しも訴える。

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 維新は党としての動きはないが、同党の井出庸生衆院議員が地元の佐久市・北佐久郡区の候補者を支援する。

 (この連載は小西数紀、武藤周吉が担当しました)