三重

民主王国に進撃の自民北勢2市

2015年4月22日

 26日投開票の統一選後半戦。北勢地域では大都市の四日市、鈴鹿両市の市議選があり、ともに多くの候補が激戦を繰り広げている。民主王国と言われた三重の中でも「牙城」とされる両市だが、今回の選挙では、昨年末の衆院選で大勝した自民の公認、推薦候補が増加。党の勢いが市議選にも影響しているようだ。

◆前回選から倍増 四日市

 三十四議席を四十六人が激しく争う四日市市議選で、自民と民主の公認、推薦候補の数が四年前から大きく変わった。追い風の自民は公認と推薦を合わせると倍増し、岡田克也代表のお膝元の民主は公認候補が激減した。

 二〇一一年の前回市議選で、自民は公認一人、推薦四人だった。今回は公認三人、推薦八人と大幅増。推薦から公認に変わった現職は「少しでも票が流れてきてくれたらと思った」。もう一人は「県連内部で発言しやすくなる」と話す。

 新人六人に推薦を出したのも特徴。国政では「民主の牙城」の四日市市でも自民が健闘しており、党四日市支部の幹部は「自民の候補と名乗りやすい状況になったのではないか。今までは推薦を申し出る新人がいなかったので、ありがたい」と感謝する。

 一方の民主は県議への転出や引退があったものの、公認が八人から三人に減少。推薦は四人から五人と微増にとどまる。公認の新人は演説で「政権時代に迷惑をかけたが、人を大切にする政策に取り組んできた」と理解を求める。

 ただ、党の名前が勝利への近道となるかは未知数だ。統一地方選前半戦の県議選で自民は公認候補二十六人のうち五人が落選。四日市市選挙区でも一つ落とした。市議選の候補者は「民主が強い地域で自民の看板を掲げても、選挙では有利にならない」と冷静に受け止める。民主の現職は「前回は民主公認というだけで帰れと言われることがあった。今回はそこまでの逆風はない」とみている。

 公明は手堅く現職五人の全員当選が目標。共産は衆院選、県議選の勢いに乗って二から三への議席増を狙う。

 (吉岡雅幸)

◆公認3人に拡大 鈴鹿

 定数三二に対し、計三十八人が立候補した鈴鹿市議選。自民は前回まで公認が一人だけだったが、今回は現職の二人を新たに取り込み計三人を公認。勢力拡大を目指す。

 党鈴鹿支部の幹部でもある現職は「地元から国会議員が出たのが大きい」と明かす。自民は鈴鹿市を含む三重2区で、二〇一二年の衆院選で小選挙区制度が始まって以来初となる議席を獲得。新たに公認した二人はその時に選挙を手伝い、その後党員になった。

 一方の民主は、公認を前回の二人から、元衆院議員秘書の新人一人を加えて三人に。推薦は現職四人、新人一人の計五人。自民は推薦を出していないため、党勢はまだ民主の方が上回っていると言えそうだ。

 現職一人が引退した公明は、現職二人、新人一人の三人が出馬。長らく現職二人態勢の共産は、新人一人を擁立し、正式な会派をつくることができる三人の当選を目指す。

 (鈴木智重)