三重

鈴木氏、若さと知名度で盤石

2015年4月13日

お祝いのタイを手に喜ぶ鈴木英敬さんと美保夫人(右)=12日夜、津市の事務所で

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 若きリーダーへの支持は揺るがなかった。三重県知事選は、いずれも無所属で現職の鈴木英敬さん(40)=自民、公明推薦=が、共産推薦で新人の藤井新一さん(56)を寄せ付けず、早々と再選を決めた。圧倒的な知名度と盤石な組織力を発揮し、「高揚感や喜びよりも身の引き締まる思い」と余裕の勝利宣言。「二十年、三十年後、人口減少に歯止めをかけたと言われる四年間にしたい」と二期目を見据えた。県議選では、激戦の津市、四日市市両選挙区で共産が四年ぶりの議席を奪還した。

 津市の鈴木さんの事務所が歓声に包まれたのは、投票が締め切られた午後八時ちょうど。開票を待たずにテレビが「当確」を打つと、祝勝会場となった事務所隣の駐車場は、支持者であふれ返った。

 鈴木さんは長男の結大(ゆうだい)君(2つ)を抱きかかえ、妻でシンクロ五輪メダリストの美保さん(38)を伴って登壇。選挙戦で日焼けした顔を紅潮させながら「再選を果たすことができ、すべての県民に感謝したい」と述べ、支持者らと三回、バンザイを繰り返した。

 全国最年少の三十六歳で知事に就いて四年。伊勢神宮の式年遷宮での情報発信や、紀伊半島豪雨での災害対応で重ねた実績をアピールしてきた。一方、勝利が視界に入った後半戦以降、訴えの比重は二期目の課題に。「大変困難だが、県の未来を決める」と、人口減少への対応を特に重視した。

 三重県の人口は二〇六〇年、現在より最大で六十二万人減るとの推計もある。鈴木さんは、雇用創出による地場産業の振興、保育士の増員による待機児童の解消、特別養護老人ホームの整備などを打ち出し、「いま、手を打たないと手遅れになる」と主張。来年日本で開催される主要国首脳会議(サミット)の伊勢志摩誘致にも「全力を挙げる」と断言した。

 選挙戦では政党色の薄い「県民党」を掲げ、独自候補の擁立を断念した民主県連の支持母体、連合三重などの推薦も受けた。

 ただ、選対本部長を務めた自民県連の川崎二郎会長は「知事を支えるのはわれわれだ」と与党の勝利を強調した。

◆藤井さん「私の力不足」

厳しい表情であいさつする藤井新一さん=12日夜、津市の事務所で

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 藤井さんは午後八時二十分すぎ、津市の事務所で「私の力不足。支持いただいた方に、おわび申し上げたい」と敗戦の弁を語った。一方で「各地で熱心に訴えを聞いていただいた。今後の県政で取り入れられる政策があれば、やった意味はある」と振り返った。

 選挙戦では、鈴木さんの県政を「財政力があるのに、医療や社会保障の予算は全国で下位」と批判。介護事業所への県単独助成や子ども医療費の窓口無料化など、街頭演説を中心に政策の浸透を図ろうとした。

 官僚出身の鈴木さんを「安倍政権の下請け」とも表現。自民党政権と共産党の対決も絡め「政権の暴走をストップできる県政をつくる」と訴えたが、現職を脅かすことはできなかった。