三重

政治基盤、より強固に

2015年4月13日

<解説>

 前回選で知事与党となり、組織力にたけた自民が選対の黒子を担い、千六百超の企業・団体の推薦も得た鈴木さん側に付け入る隙はなかった。四年間で県政界の中心に駆け上がった鈴木さんだが、より強固な政治基盤を手にしたのは間違いない。

 選挙戦で掲げた政策集では、自民と民主・連合系地域政党「新政みえ」の主張を巧みに織り込む巧者ぶりを見せた。個人演説会には自民候補が姿を見せ、その存在感を静かにアピール。民主は候補擁立を断念したが、新政みえと支持母体の連合三重が鈴木さんを推薦。「知事の知名度も使わないと生き残れない」との声すら漏れた。

 前回選と異なり、市・町長も競うように全国最年少知事との蜜月ぶりを強調。鈴木さんとの「戦略的互恵関係」を求める輪は広がり続け告示前から対立候補に大差をつけた。

 観光客の増加に各種経済指標の好転…。一期目は、情報発信や現場主義を掲げた鈴木さんという若き触媒を得た三重県が、秘めたる可能性を芽吹かせた四年間と言えるだろう。

 ただ課題は山積みだ。陣営の思惑とは裏腹に投票率低下という鈴木県政への無関心も浮き彫りになった。二期目は有権者の目が厳しさを増す。選挙戦で唱えた「開花宣言」が掛け声倒れに終われば、自らの政治的目標を自らの手で閉ざすことになりかねない。

 人口減少が加速度的に進む三重県。政策実行に猶予はない。その浮沈は、二期目を歩む青年知事の双肩にかかっている。

 (相馬敬)