三重

<県議選 激戦区ルポ>(5)

2015年4月11日

◆4議席めぐり5人競る 松阪市区

中西  勇59 無現<1>

中瀬古初美50 無新

田中 祐治60 自新

野口  正62 自新

後藤 健一65 無現<2>

個人演説会で支持を呼びかける候補者=松阪市内で

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 無所属の現職二人と自民の新人二人、無所属の新人が四つのいすを争う。各陣営は得票数で大差はつかないとみており、激しい選挙戦を展開している。

 前回選で、二位に倍近い差の二万六千票でトップ当選し、市長選出馬で辞職した竹上真人さんが出馬しない。民主系の笹井健司さんも引退する。各陣営は今回の当確ラインを、前回を上回る一万三千〜五千票とみる。

 自民は一九六三(昭和三十八)年以来の二議席獲得を狙う。従来も複数の候補を擁立してきたが、現職が票を集めて圧勝し、新人が落選する構図を繰り返してきた。その反省から、今回は有権者数で選挙区内を二分し、重点地域をすみ分ける作戦に出た。前回の自民の総得票約三万四千票を二分すれば、当確ラインに届く計算だ。両陣営が乱れて戦う地域もあり、思惑が外れる可能性もある。

 新人の田中さんは、旧松阪市の東部と旧飯南、飯高両町を攻める。松阪商工会議所青年部時代に築いた人脈を生かし、告示前から精力的に企業や団体へのあいさつ回りを重ねた。告示後は各地で個人演説会を開き、「地域資源を生かした産業と雇用の創出が必要」と主張。学力向上や防災対策の充実も訴える。

 もう一人の新人野口さんは、旧松阪市の西部と旧嬉野、三雲両町を重点地区に構える。企業、団体回りに加え、自治会の集会にもこまめに顔を出してきた。演説では、党の公認候補であることを強調。人口減少社会の到来を危惧し、「子育て環境の整備が最も大切。雇用もつくり、生活基盤を整える」と訴える。

 民主は、連合三重と連合三重の地域組織「松阪多気地域協議会」の推薦候補が初めて異なる事態となった。県議選の候補擁立をめぐり、森本哲生元衆院議員と松阪市議との間で生じた対立が尾を引く。連合三重と新政みえは、後藤さん、中瀬古さんの両候補者を推薦。一方、森本さんが中瀬古さんを支援する中、協議会は「混乱を招いた森本さんの支援候補は応援できない」と、後藤さんの支援で一本化した。

 前回選で一万四千票を獲得した後藤さんは、自治労中心の笹井さんの票を受け継ぎ、安定した選挙戦を進める。ただ陣営は、元町長だった笹井さんの票には保守票が含まれ、中瀬古さんに流れる票もあるとみる。後藤さんは「前回を上回る票が至上命令」と気を引き締め、労組や企業の票固めを進める。

 新人の中瀬古さんは、森本さんの地元の旧飯南町や、出身地である旧飯高町で票固めを進める。中川正春衆院議員の支援も受ける。当選すれば、選挙区で〇七年以来となる女性県議となる。市内を自転車で回って庶民派をアピールし、女性票と浮動票の取り込みを狙う。子育て支援や医療福祉の充実を訴える。

 一方、政党の支援を受けない中西さんは、前回選の九千五百票からの大幅な上積みが必要とみられる。前回公認を受けたみんなの党が解党し、支援を受ける山中光茂市長が辞意を表明する逆風の中、県民目線の改革路線を強調。「県政に堂々と物を言えるのは私だけ」と訴え、支持なし層への浸透を図る。

◆2現職に新人挑む 多気郡区

浜井 初男65 みえ現<1>

西川  浩52 無新

西場 信行63 自現<8>

 前回と同じく三人の争いで、定数二をめぐって現職二人に新人が挑む構図になった。

 西場さんは祖父、父の代から県議を務め、現職最多の八回の当選を誇る。明和、多気、大台で高い知名度を持ち、「古里が主役の政治で元気な農山漁村づくりを」と訴える。

 元大台町議の浜井さんは今回、民主・連合系地域政党「新政みえ」の公認で出馬した。労組のほか、森林組合や漁協の支援を受ける。各地で個人演説会を開き、支持拡大を狙う。

 元多気町議の西川さんは支持組織を持たず、支持なし層の取り込みを狙う。「持続可能な循環型社会の構築」などを訴え、選挙カーとともに自転車で各地を回り、支持を訴える。

 =おわり