三重

<県議選 激戦区ルポ>(4)

2015年4月10日

◆7現職に挑む共産新人 津市区

青木謙順58 自現<3>

舟橋裕幸60 みえ現<5>

今井智広47 公現<2>

小野欽市60 自現<1>

杉本ゆや61 無現<2>

岡野恵美62 共新

前野和美66 自現<3>

前田剛志55 無現<4>

 定数七の選挙区で、現職七人に、四年前に失った議席の奪還を期す共産新人が挑む構図。自民と民主・連合系会派「新政みえ」はそれぞれ現職三人の、公明は現職一人の議席死守が命題。広大な県都を舞台に、八陣営が激しい集票合戦を繰り広げている。今回は女性二人が立候補しており、二人とも当選すれば、県内で初めて同一選挙区から複数の女性議員が誕生する。

 津市は二〇〇六年一月の市町村合併で旧津市と久居市、安芸郡、一志郡の十市町村が一つになり、県議のいすは七つになった。名古屋市の二倍以上という広大な面積を持つ。

 自民は公認した二十六人全員の当選で、二十八人が当選した一九八七年以来、二十八年ぶりの過半数獲得を狙う。党県連会長を務める川崎二郎衆院議員の地盤での議席堅持は、至上命令だ。

 前回トップ当選の青木さんは、地盤の旧一志郡で票を固めつつ、旧安芸郡や久居市で票の上積みを狙う。告示後は二十二カ所での演説会のうち、十六カ所を旧一志郡で開く。「唯一の旧郡部在住議員として、引き続き地域の課題に取り組みたい」と訴え、引き締めを図る。

 前回は最下位で初当選した小野さんは、旧津市の中心部で党の支持層を固めるほか、川崎衆院議員とその妻が演説会に駆け付け、支援を求める。旧津市以外でも精力的につじ立ちや民間企業へのあいさつ回りを重ねる。「最後までお力添えいただきたい」と訴える。

 前野さんは、地盤の旧久居市内で精力的に演説会を重ねて足元を固める一方、旧津市、安芸郡の沿岸部をこまめに回り、元消防団副団長として津波対策の取り組みを訴える。農政への精通も売りにし、母校である久居農林高の同窓生や農家の支持獲得に力を注ぐ。

 民主・連合系の三人も、二回連続で死守してきた三議席の維持に全力を注ぐ。新政みえは二十三人全員の当選で現有勢力の維持を目指すだけに、県都での取りこぼしは「敗北」に直結する。

 新政みえ公認の舟橋さんは、自治労や県職労などの支持を固め、六選を目指す。三日の個人演説会では「人口減をどう食い止めるかが問題」と力説した。都市部への人口流出を防ぐために、県内での進学や就職、子育てがしやすい環境を整えることの重要性を訴えた。

 無所属の前田さんは、推薦を受けた中電労組、県電力総連の票をまとめ、母校の津工高の同窓生や民間企業の労組にも支持を広げる。告示後は個人演説会を一日に三回のペースで開き、防災や福祉、経済の充実を訴える。演説会では妻も涙ぐみながら支持を求めた。

 元教員の杉本さんは、出身母体である三教組の組織票固めに奔走している。同世代の新人女性の出馬で、唯一の女性候補ではなくなったことに危機感を強め、旧津市の自治会の推薦を新たに増やした。旧安芸郡、一志郡でも個人演説会と街宣を重ね、支持の拡大を目指す。

 公明は、三回連続での一議席堅持を目指す戦いとなる。

 党県本部幹事長の今井さんは、出身地の旧一志郡をはじめ、旧津市などの党支持層をまんべんなく回る。支援者には、ドクターヘリの導入やがん対策推進条例の成立など、これまでの実績を強調。支援する民間企業には「税収増のためには、経済対策が必要」と呼び掛ける。

 共産は前回選で三百二票差で失った議席の奪還が悲願だ。

 旧津市議の岡野さんは昨年七月から週に三回、市内の駅前でつじ立ちを重ねてきた。七日の演説会では、名前を逆さに読むと「三重の顔」になるとのキャッチフレーズを紹介。保健師や看護師の経験を訴えつつ、掲げる子ども医療費の窓口無料化への支持を求めた。

◆次回から1減、上積みに躍起 伊勢市区

奥野英介68 自現<2>

広耕太郎52 民新

中川正美64 自現<8>

中村進一67 みえ現<5>

内藤弘一50 共新

 前回の無投票から一転、選挙戦に。ベテランの現職三人と新人二人が四つの議席を争う構図になった。次回の定数一減を見据え、いずれの陣営も票の上積みに躍起だ。

 最多の九選を目指す中川さんは、市内全域に張り巡らせた組織を引き締めつつ、個人演説会に精を出す。

 前回の無所属から自民公認となった奥野さんは、地元・小俣町の保守票を固め、二見町などにも浸透を図る。

 民主・連合系地域政党「新政みえ」代表の中村さんは、出身組織の自治労などの支援で全域を細かく回る。

 民主系の辻三千宣さんの引退に伴って出馬した広さんは、企業労組の支援を受け、市議時代の実績を訴える。

 二度の衆院選出馬で知名度を上げた内藤さんは街頭で「オール与党」への批判などを訴え、支持拡大を狙う。