三重

<知事選立候補者 座談会>(下)今後のかじ取り

2015年3月31日

名刺を交換する鈴木英敬さん(左)と藤井新一さん。この座談会が初顔合わせだった=津市内のホテルで

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 −リニア中央新幹線の県内整備の賛否は。リニアを施策にどう生かすべきか。

 藤井 「リニア建設には反対。自然環境への影響が予測されておらず、駅舎以外のインフラ整備は地元負担。経済効果もないと思う。駅ができただけで周囲の開発が進むわけではない。ただ通過するだけの駅では、地元にとって迷惑かもしれない」

 鈴木 「三重−奈良ルートの早期実現と駅位置の早期公表をJRに求め、経済効果の啓発もする。駅の位置が決まれば駅までの道路や鉄道のネットワーク整備の検討を始める。有識者を交えた研究会を設け、名古屋までの開業を見越したまちづくりを議論する」

 −戦後七十年を迎える今、平和を引き継ぐためにはどんな取り組みが重要か。

 鈴木 「『幸福実感日本一』を掲げているが、平和はその大前提。次世代に平和の尊さを伝えるラストチャンスとも言える。政府主催の戦没者慰霊式典に子ども派遣団を送るほか、戦争の悲惨さを伝えるアーカイブを作り、啓発活動にも力を入れたい」

 藤井 「日本が犯した戦争の歴史を、子どもがしっかり学ぶことが大事だ。戦後七十年の意味として、中国や韓国などの他国と共有する部分がある。それらの国と交流し、平和なアジアをつくる構想を示す。その一助として、県が役割を果たすことが大事だ」

 −現政権の評価を。また、次の総選挙では再び政権交代を望むか。

 藤井 「集団的自衛権の行使容認をはじめ、TPPの推進や原発再稼働、過去最大の軍事費など、全く評価できない。戦争に向けた国づくりを進めている。社会保障の分野では介護報酬の引き下げをはじめ、患者負担を増やす流れを変えなければならない。現政権は次の総選挙で交代してもらいたい」

 鈴木 「経済政策や東京五輪誘致で成果を上げており、一定の評価はできる。全国津々浦々まで景気回復の実感は届いていないので、道半ばか。知事の立場なので国政選挙へのコメントは控えたいが、政権交代なら十年間で三度目。やや安定性に欠けると思う」

 −持続可能な三重県にするためにどう借金を減らし、どんな改革を進めるか。

 鈴木 「県民目線の新たな行財政改革プランをつくる。歳入増加に取り組み、県債残高を減らす傾向を維持する。老朽化した公共施設は何を残し、どう整備するかを仕分ける。メリハリをつけた財政運営と、納税環境の整備も進める」

 藤井 「公共事業の無駄遣いをやめる。地元で多くの反対の声を聞いている川上ダムの建設中止を求める。法人税の超過課税を見直し、一定の課税をして県の財政を立て直す。知事の給料は半減し、退職金もゼロにしたい」

 −次の四年間、どんな知事を目指すのか。

 藤井 「県民の命と暮らしを守る県政を進める。働く人の四割は非正規雇用だ。非正規雇用やブラック企業で使い捨てにされる若者、一人親の家庭、農業や中小企業などに光を当てる。一人一人の暮らしに思いを寄せる県政に切り替えるために頑張りたい」

 鈴木 「『HIJK+S』という標語を考えた。『ひと』『命』『実現』『経済』プラス『スポーツとサミット』という意味だ。実行と実現が大事だ。絵空事を言って信頼や期待を裏切ることはできない。県民の力を引き出す取り組みを継続、発展させる」