三重

知事選、26日告示鈴木、藤井氏の一騎打ちへ

2015年3月25日

 統一地方選による知事選は二十六日、告示される。いずれも無所属で現職の鈴木英敬氏(40)=自民、公明、新政みえ推薦=と、新人で団体役員の藤井新一氏(56)=共産推薦=が立候補を表明。現県政の継続と発展を目指す鈴木氏と、転換を打ち出す藤井氏による一騎打ちの見通しだ。候補擁立を断念した民主は自主投票を決めた。

 再選を目指す鈴木氏は十一月の県議会で立候補を表明した。政党色を薄めて「県民党」を打ち出し、民主、連合系の地域政党「新政みえ」や連合三重の推薦も受けた。

 選対組織は、後援会や自公、企業・団体を軸に構成。地区の後援会も三から十一に増やし、支持基盤を固める。告示前も各地で県政報告会や世話人会を重ねている。

 藤井氏は二月中旬、「県民の立場に立った、独自の政策を進めたい」と立候補を表明。県政の転換を訴える。共産党県委員会などでつくる「県民本位のやさしい三重県政をつくる会」が支援する。

 現在の主な肩書は県民主医療機関連合会(三重民医連)事務局次長。秋田県出身で津市在住。製薬会社社員や赤旗記者、介護事業所の事務長を務めた。

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 再選を目指す鈴木英敬氏、新人の藤井新一氏が選挙戦で訴える公約が出そろった。教育や医療・福祉・介護、地域経済などを重視する姿勢は共通しているが、視点や具体策には違いが見られる。

 鈴木氏が今月十六日に発表した政策集は「みえ『開花』宣言」をキーワードに「教育・人づくり」「命・暮らし」などの八本の柱と五十九項目で構成した。「四年間で種をまいた施策を着実に実行する」と鈴木氏。小中高一貫の道徳教育に向けた有識者委員会の設置や、先進国首脳会議(サミット)の誘致を掲げた。

 藤井氏は二月下旬、「転換・安心・みえ」を掲げる公約を発表。「三つの転換」では、医療・介護・福祉の底上げや中小企業、農林水産業への支援を通じた地域再生などを強調。医療・介護などを柱とした「五つの安心」では、七十歳以上の医療費負担の無料化や、県立学校全教室のエアコン設置を目指す。

 ただ、両氏が発表した公約冊子はいずれも、掲げた重要政策に充てる財源の規模や、行財政改革の具体策の明示を避けている。

 鈴木氏の四年間のかじ取りをめぐっては、三重県の対外的なPRや観光客増加、少子化対策などを評価する声もある。一方、鈴木県政を批判する藤井氏は、三重の医療・福祉関連の指標が「軒並み低い」と指摘。「いのち・暮らし第一の県政へ」と訴える。

(相馬敬)

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