三重

さぁ県議選 地元でガンバロー

2015年3月18日

任期中の最後となる本会議を終え、席を立つ県議ら=県議事堂で

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 四月三日告示、十二日投開票の県議選が間近に迫った十七日、県議会の第一回定例会が閉会し、立候補する現職らは慌ただしく選挙区へ駆け戻った。東日本大震災に伴う街頭活動などの自粛ムードが広がった四年前とは一転、出馬する面々は従来型の運動を展開するとみられる。立候補予定者たちはそれぞれの思惑を胸に、九日間の選挙戦に向けて一斉に走り出した。

 県議選の最大の焦点は、二十三議席を有する民主、連合系会派「新政みえ」と、現有二十議席の「自民みらい」、三議席の少数会派「鷹山」による自民勢のどちらが多数派を占めるかにある。

 第一会派の新政みえは、同名の地域政党が公認、推薦する二十三人を擁立。候補を公募していた空白区では擁立を断念した。実力派議員の一人は「最大の目標は二十三人全員の当選。一人でも欠ければ“失敗”だ」と表情を引き締める。

 選挙戦では会派として独自の選対を設け、激戦区には事実上の無風区の議員や引退議員を投入。地域政党としての選挙カーも活用する。この議員は「民主党県連、連合三重と協力する『三重県方式』によって力を結集したい」と力を込める。

 「安倍内閣を支える一翼として全員当選を目指す」と鼻息も荒いのは、現新二十六人の公認候補を立てる自民のベテラン現職だ。

 ただ、複数の選挙区で激戦が予想されており、この議員は改選後の自民みらい、鷹山の一本化を示唆した上で「仮に議席の取りこぼしがあっても、友好会派と合わせて過半数を担いたい」との“現実路線”も口にした。県議会の総定数は五一。改選後に主導権を握るには二十六議席が必要になる。議会構成によっては、少数会派や無所属議員との連携が鍵を握ることになりそうだ。

 少数会派は、鷹山のほかに「公明」「能動」「新しい翼」(いずれも一議席)の三会派がある。公明の現職は「多様な民意を県政に反映する必要がある。存在感を示し、是々非々で議論するためにも必ず二議席を確保したい」と意気込む。

 ガンバロー三唱や街頭遊説の縮小など震災の影響が随所に見られた四年前の県議選。ある現職は今回の特色として、事務所開きに合わせ公民館やホールでの決起集会を開く自民勢が多いことを指摘。「自民は復調ムード。その勢いに乗りたい陣営が多いのでは」と見る。

 別の現職は「一人でも多くとあいさつし、実績を訴える選挙戦しかない。争点は地方の再生だ」と言い切る。

 定数七に対し、現新八人が立候補する予定の津市選挙区。津市は県内市町で最も広く、名古屋市の二倍以上の面積を持つだけに、各陣営には激しい選挙戦が待っている。旧郡部が地盤の現職は「四年前の個人演説会は黙とうからスタートした。震災からの復旧は道半ばだが、今回は明るい未来を訴える選挙戦にしたい」と話す。

 この現職は地元有権者の高齢化と減少に危機感を抱く。地元の後援会幹部が相次いで亡くなったといい、「必死に運動し、有権者の数が増えている旧津市、旧久居市でも票を取りたい」とまなじりを決する。

 四年前に失った議席の奪還を目指す共産は新人三人を擁立。うち一人は一月から二十カ所以上で活動報告会を開き、街頭演説も着々と進める。「今の県議会は鈴木英敬知事に何でも賛成で、県民の声に耳を傾けていない。きちんと批判できる共産への期待は高まっている」と力を込める。

 (相馬敬、添田隆典)