三重

代表の地元で民主陰り知事選も擁立断念

2015年2月26日

連合三重の新春パーティーで顔を並べた鈴木英敬三重県知事(左)と民主党三重県連の芝博一代表代行(当時)(右)=1月7日、津市内で

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 告示まで一カ月となった統一地方選の知事選。三重県では、自民、公明両党の推薦を受けて再選を目指す鈴木英敬知事(40)と、共産党が推薦する新人藤井新一氏(56)との一騎打ちになりそうだ。民主党は独自候補の擁立を断念し、岡田克也代表の地元で与野党対決に持ち込めなかった。党勢の衰えは「民主王国」と呼ばれた地盤にも影を落とし、支持母体との足並みの乱れも出ている。

 「われこそは、と言う候補者がいなかった。残念だがやむを得ない」。十四日、津市内で記者会見した民主県連の芝博一代表は知事選の擁立断念を認めた。具体的な候補者名は最後まで浮上しなかった。

 県連は昨年の衆院選でも三重1区と4区で候補者を擁立できず、「選択肢を示せなかった」と反省したばかり。党県議の一人は「今の党勢で、無理をしてまで対立候補を擁立しようという雰囲気にはならなかった。鈴木県政への不満が大きく広がらなかったのも理由だ」と明かす。

 県連内では一部に現職相乗りを容認する声はあるものの、推薦に慎重な声も依然根強く、近く対応を最終決定する。一方、支持母体の連合三重は「組合員が蚊帳の外になる状況は避けたい」と、いち早く鈴木氏の推薦に向けた検討に着手した。

 民主は政権交代を果たした二〇〇九年の衆院選で、県内で六人が当選。結党以来、三度の知事選で推薦候補が連続当選するなど、県政の主導権を握ってきた。しかし、前回知事選で推薦した候補が鈴木氏に破れた後は、二度の衆院選と参院選で自民にリードを許している。

 国政で「一強」の自民は昨年七月以降、滋賀、沖縄、佐賀県知事選で推薦候補が敗れているだけに、三重での必勝を期す。

 新体制となった民主は最初の大型選挙となるが、岡田代表の足元で「不戦敗」を余儀なくされた。ある党県議は「中途半端に候補者を立てて敗れれば、他の選挙にも波及して逆効果になる。あえて波風を立てる必要はない」と話す。

(三重総局・添田隆典、相馬敬)