旧町村部地盤の全員当選関市議選
2015年4月27日
トップ当選を果たし支持者と握手する波多野源司さん(右)=26日夜、岐阜県関市の事務所で |
「山間地」の声は引き続き、議会に届けられる。二十六日に投開票された岐阜県関市議選(定数二三)。中部地方の市で最後まで、合併前の旧市町村ごとの選挙区を残し、今回から全市一区となった。前回はそれぞれ独立した選挙区だった五つの旧町村部から出た七人全員が当選し、地元の代表を確保した。都市部への人口流出が続く地域の生き残りをかけ、知恵を出し合う。
有権者約千六百人の上之保地区を地盤とする無所属現職、波多野源司さん(60)は二千八百票余を獲得し、トップ当選。「過疎も進んでいる。住民の危機感が表れた結果だと思う。トップなんて想像もしなかった」と声を弾ませた。関市全体の投票率は57・59%だったが、上之保地区は87・82%に達した。
関市中心部でも票を掘り起こすため、上之保出身者に狙いを定めた。血縁などを頼りに連絡先を把握し、電話やはがきで支持を訴えた。陣営は「ふるさと上之保のために投票に行ってください、とお願いした」と振り返った。上之保に住む支援者の主婦加納千恵美さん(60)は事務所で「地元議員がいるのといないのとでは、市への声の伝わり方が全然違う」と話し、友人らと抱き合って喜んだ。
有権者数が約千人の板取地区の自民現職、長屋和伸さん(66)も、千九百票余で当選した。
板取では住民が声を掛け合い、半数以上が期日前投票を済ませた。多くは、長屋さんへの票だとみられている。当選あいさつで「期日前投票の多さは、この板取が一つになった証拠と思っている」と感謝した。
選挙戦では数日間、車で四十分かかる市中心部にも事務所を開き、企業訪問を重ねた。当選が決まったこの日も、板取で祝福を受けた後、市中心部で当選あいさつをするため、車に乗り込んだ。