岐阜

名前連呼より街頭演説市議選、おなじみの風景に“異変”

2015年4月21日

携帯スピーカーで演説する公明候補(左)。その脇におなじみの選挙カーはない=岐阜市内で

写真

 県内各地で舌戦が始まった統一地方選後半戦の市議選でちょっとした“異変”が起きている。公明党県本部が公認候補の市議選での選挙カー使用を取りやめたのだ。車からの名前連呼より、街頭演説でじっくり訴えようとの狙いだが、おなじみの道具を使わないことに、候補者からは不安の声も聞こえてくる。

 市議選二日目の二十日午後四時。岐阜市内の住宅街に、ごく普通の軽自動車が止まった。助手席から出てきたのは、たすきをした男性候補者。スタッフの男性と二人で携帯スピーカーを取りだし、「常に現場第一。温かいご支援をよろしくお願いします」。すぐに街頭演説が始まった。

 定数が三つ減って混戦模様。一分一秒が惜しいが、開始を予告した時間まではじっと車で待機する。「今までは選挙カーで手を振っていられたのに。本当に大丈夫かと不安にもなる」。これまでの選挙では一日数回だった街頭演説だが、今回は何倍にも増やす予定だ。

 党県本部によると、二十一日告示の三町を含む十二市町議選の公認候補計二十五人は、そろって選挙カーを使わない。狙いは「政策をじっくり聞いてもらう」こと。男性候補の陣営幹部は「名前の連呼より、演説の方が票が入るって。党本部でそう分析したらしい」と話す。

 公明以外では、岐阜市の自民候補の一部が、選挙カーの運行を午前十時〜午後六時に限った。公職選挙法では午前八時〜午後八時に運行できるが、ある候補者は「朝夕は『うるさい』と嫌がられる。票が逃げるようなら走らせない方がいい」。その時間は事務所で訪問者との会話に充てる。

 一方で、認められた道具はフル活用しようという陣営も。岐阜市の無所属新人の女性候補は、自身は徒歩で有権者と顔を合わせ、選挙カーは別に走らせて名前をアピールする「二方面作戦」で、知名度アップを狙う。

(統一地方選取材班)