岐阜

県議選、30代の当選1割超え世代交代一歩前進

2015年4月14日

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 十二日に投開票された県議選(定数四六)では三十代の当選が相次いだ。現職四人、新人三人の計七人で、前回より三人増えた。逆に六十代以上は減った。世代交代は進みつつあるようだ。

 当選者の平均年齢は五十五歳で、ほぼ前回並み。ただ、三十代が占める比率は15・2%で、前回より6・6ポイント上昇した。一九九九年からの五回で、三十代以下が全体の一割以上を占めるのは初めて。六十代以上の比率は37%で、前回から10ポイント余り低下した。

 三十代が増えた背景には、ベテランが引退したり、国政選挙に出馬したりしたため、各党が積極的に若手を擁立したことがある。

 岐阜市選挙区では、公明新人の澄川寿之さん(35)が、引退した議員(66)に代わる形で党の議席を守った。共産も、昨年末の衆院選出馬で失職した女性(55)の後継として、新人中川裕子さん(34)を擁立。議席を取り戻した。

初当選を決め、支援者と握手する恩田佳幸さん(右)=山県市高木の事務所で

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 自民は七選挙区で、公認候補が、離党した元自民系市町議と争う「分裂選挙」となったが、この背景にあるのも「世代交代」。高齢議員が道を譲らないことに、中堅や若手の不満が高まったことなどが理由とされる。

 山県市選挙区では、自民を離党した元市議の新人恩田佳幸さん(32)が、自民現職(66)を破った。

 今回の最年少当選者となった恩田さんは「有権者も、若手議員には物を言いやすいと思う。どんどん意見を言ってもらい、これを議会で伝えたい」と意気込んだ。

◆共産、反自民票つかむ 中川さんトップ当選

 県議選岐阜市選挙区(定数九)で、新人の中川裕子さん(34)が共産党候補として初めてトップ当選を果たした。政党支持なし層を狙った選挙戦術も奏功し、自民党批判票の取り込みに成功したようだ。

 中川さんは一万七千票余を獲得し、二位と三千票以上の差をつけた。前回の共産候補は八位当選で、獲得票は一万一千九百票余。五千票強を上積みしたことになる。

 今回の岐阜市選挙区には十二人が出馬したが、自民批判票の受け皿となりうる民主候補二人の得票は、計二万票余。民主は前回も二人擁立したが、今回は前回より約三千五百票近く減らした。

 投票率の変動もあり、単純比較はできないが、自民批判票が共産に流れたとの見方は強い。民主を支える労組関係者も「民主の主張はどこか中途半端にも聞こえた。共産ははっきりしており、票が流出した可能性はある」と認める。

 一方、中川さんは共産色を和らげる演出も展開。ポスターやのぼり旗、事務所の看板にピンク色をあしらい、政党支持なし層への浸透を狙った。インターネットでも選挙活動を発信した。陣営幹部は「国政選挙でも健闘している党の上げ潮ムードと、若さや女性といった本人の個性が、相乗効果を生んだ」と振り返った。

 (統一地方選取材班)