岐阜

数の力は政策提案に

2015年4月13日

<解説>

 分裂選挙に苦しみつつも、県議会(定数四六)の七割近い議席を維持する見通しとなった自民党。来年夏の参院選への足場を固め、その半年後の知事選に向けても主導権を確保した形だ。

 「組織が過渡期を迎えた難しさがあった」と、今県議選を自民県連幹部は振り返る。世代交代をめぐる「自民系分裂」に手を焼き、離党者陣営への処分を繰り返した。現有から一議席を上積みする見込みで何とか自民王国のメンツは保ったが、当面は、分裂のしこり解消といった組織の再構築が課題になる。

 ただ、地方の自立が求められる今、大切なのは「内輪の問題」への対応ではない。

 安倍政権の「地方創生」は、人口減少や雇用創出といった地域の課題解決を掲げつつ、具体的な対策づくりを地方自治体に求める。地方の創意工夫が試される中、「数の力」をもつ自民には大勢の県民の声を県側に届け、時には、実情に合った解決策を提示する姿勢が求められる。

 本紙の候補者アンケート「票ナビ」では、自民会派に入る予定の三十一人の半数以上が、県議の最も重要な役割を「政策の提案」と答えた。うち一人の理由は「議員の提案により、職員が全く考えていなかった施策が実現する」。自民には、約束を果たしてほしい。

 一方、民主は党名を外した選挙母体の設立など“党色”を薄める戦術が目立った。その場しのぎの手法では、候補者も十分に集まらなかった。昨年末の衆院選に続き有権者に選択肢を示せず、投票率低迷の一因となった責任は重い。

 (藤沢有哉)