岐阜

<攻防 県議選>(1)高山市選挙区

2015年4月7日

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 「とにかく、対抗すべきは巨大与党だ」。五日午後、高山市の高山陣屋前。無所属新人で民主の推薦を受ける小井戸の応援に駆け付けた維新の党県総支部長、今井雅人がこぶしを振り上げた。

 今井の横には、民主党政調会長の細野豪志、党県連代表の小見山幸治。民主と維新の共闘関係を強調するように、細野は「非自民勢力の結集」と繰り返した。

 高山市選挙区(定数二)は前回、自民現職の高殿、無所属現職の川上が無投票で当選。しかし、考え方の違いから川上とたもとを分かった連合が、小井戸を擁立した。この動きに、県レベルで県内の民主候補全員を推薦した維新の今井が参戦した。

 「働く人、生活者の目線で活動する唯一の候補として、県議会に送ってもらいたい」と話す小井戸にとって、維新の支援はプラスに見える。だが陣営幹部は言う。「組織内には今も、(今井に)裏切られた思いが残る」。二〇〇九年の衆院選で民主から出馬した今井が、一二年に離党したからだ。

 一方、今井側にとって、今回の県議選は自身の選挙に向けて大きな意味合いを持つ。

 高山市選挙区がある衆院岐阜4区は、金子一義(自民)が十選する強固な保守地盤。昨年末の前回選でも、今井は民主の支援を受けたが、比例復活に回った。金子との得票差は二万四千。うち飛騨地域で二万票余水をあけられた。

 「小選挙区で勝つには、飛騨地域が鍵」。今井周辺は口をそろえる。本人も五日の応援演説で「自公政権に対抗できる勢力を作らないと。統一地方選はその足掛かりです」と力を込めた。

 迎え撃つ現職二陣営。四選を目指す川上は連合が離れたものの、「相手は関係ない。自分は自分のやり方でやる」と強調。毎日、自転車遊説を展開するなど、組織を頼らず草の根運動に徹する。

 金子の元秘書だった高殿は、自民の全面支援を受ける。基盤は盤石だが、初当選の前回は無投票で、選挙戦は今回が初めて。「三つどもえで、戦いは厳しい」と危機感を前面に打ち出している。

 高殿を支援する金子は四日、後援会幹部を急きょ集め「高山は激戦区。私も必死になってやるが、皆さんもご支援を」と訴えた。ある幹部は「今井さんは人の庭に土足で入ってきたようなもの」と語気を強めた。

 そして、大坂冬の陣で豊臣方が大坂城の外に作り、最後まで徳川方を苦しめた出城「真田丸」の名を挙げ、「高山に真田丸を作らせたくはない」と警戒する。

 =敬称略

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 十二日投開票の県議選は、無投票当選が決まった十二選挙区の十五人を除き、十五選挙区で五十一人が三十一議席を争っている。その中から注目選挙区を取り上げ、激しい攻防を繰り広げる現地を歩いた。

(統一地方選取材班)